大切なあなたに花束を

公開日: 仕事 | 心温まる話

花束(フリー写真)

私は介護施設で働いています。

時々おじいちゃんやおばあちゃん宛に、ご家族の方よりお手紙や花束が届きます。

花束を持って行くと、皆さん集まって来ます。

自分かもしれない…と。

メッセージカードが読まれて、花束が誰宛か判明し、その人だけが喜ぶ。

後の人は、がっかりして部屋に戻ります。

ある時、大きな花束が届きました。

いつものように、おじいちゃんおばあちゃん達が集まって来ます。

今度は誰宛だろう?

早くメッセージカードを読むように急かされました。

私はそれを読みました。

カードには、

『大切なあなたにこの花束を贈ります』

と書いてありました。

期待する皆さんの輝く顔。

そして最後の宛名を見て、涙が込み上げてきました。

それは、ここにいるおじいちゃん、おばあちゃん達全員からの私への花束だった…。

『○○さんへ

大切なあなたにこの花束を贈ります。

いつもありがとう。

あなたの笑顔で寂しさを忘れました』

関連記事

封筒を持つ手(フリー写真)

結婚記念日おめでとう

入社4年目の時に、初めて結婚記念日の日を迎えた。 しかしその日、運悪く社内でトラブルが発生した。 下手したら全員会社に泊まりになるかもしれないという修羅場なのに、 「…

家族の手(フリー写真)

幸せな家族

私は長女が3歳になった時に長男を出産した。 長男が生まれるまで、私と長女は殆どずっと一緒に居た。 夫が居ない平日の昼間は、二人だけの時間だった。 でも子供が二人になる…

バスの車内(フリー写真)

乗客全員の拍手

今から16年程前、12月も半ばを過ぎた頃の話です。 私は体調を壊し、東京にある中野坂上の病院へ週二回、通院していました。 その日は今にも雪が降り出しそうな空で、とても寒い日…

手を繋いで夕日を眺めるカップル(フリー写真)

ずっと並んで歩こうよ

交通事故に遭ってから左半身に少し麻痺が残り、日常生活に困るほどではないけれど、歩くとおかしいのがばれる。 付き合い始めの頃、それを気にして一歩下がるように歩いていた私に気付き、手…

小石(フリー写真)

大切な石

私の母の話です。 私には三歳年下の弟が一人います。 姉の私から見ても、とても人懐っこく優しい性格の弟は、誰からも好かれるとても可愛い少年でした。 母は弟を溺愛してお…

老夫婦(フリー写真)

夫婦の最期の時間

福岡市の臨海地区にある総合病院。 周囲の繁華街はクリスマス商戦の真っ只中でしたが、病院の玄関には大陸からの冷たい寒気が、潮風となって吹き込んでいたと思います。 そんな夕暮れ…

結婚式場(フリー写真)

叔父さんの血

俺には腹違いの兄貴が居る。 俺が小学5年生、兄貴が大学生の時に、両親が子連れ同士の再婚。 一周りも年が離れていたせいか、何だか打ち解けられないままだった。 ※ 大学入試…

手を繋ぐカップル(フリー写真)

幸せの在り処

もう五年も前になる。 当時無職だった俺に彼女が出来た。 彼女の悩みを聞いてあげたのが切っ掛けだった。 正直、他人事だと思って調子の良いことを言っていただけだったが、彼…

浜辺で子供を抱き上げる父親(フリー写真)

不器用な親父

俺の親父は仕事一筋で、俺が小さな頃に一緒にどこかへ行ったなんて思い出は全く無い。 何て言うのかな…俺にあまり関わりたがらないような人って感じ。 俺は次男だったんだけど、兄貴…

手を繋いで歩く夫婦(フリー写真)

たった一つの記憶

私の夫は、結婚する前に脳の病気で倒れてしまい、死の淵を彷徨いました。 私がそれを知ったのは、倒れてから5日も経ってからでした。 夫の家族が病院に駆け付け、携帯電話を見て私の…