大切なあなたに花束を

公開日: 仕事 | 心温まる話

花束(フリー写真)

私は介護施設で働いています。

時々おじいちゃんやおばあちゃん宛に、ご家族の方よりお手紙や花束が届きます。

花束を持って行くと、皆さん集まって来ます。

自分かもしれない…と。

メッセージカードが読まれて、花束が誰宛か判明し、その人だけが喜ぶ。

後の人は、がっかりして部屋に戻ります。

ある時、大きな花束が届きました。

いつものように、おじいちゃんおばあちゃん達が集まって来ます。

今度は誰宛だろう?

早くメッセージカードを読むように急かされました。

私はそれを読みました。

カードには、

『大切なあなたにこの花束を贈ります』

と書いてありました。

期待する皆さんの輝く顔。

そして最後の宛名を見て、涙が込み上げてきました。

それは、ここにいるおじいちゃん、おばあちゃん達全員からの私への花束だった…。

『○○さんへ

大切なあなたにこの花束を贈ります。

いつもありがとう。

あなたの笑顔で寂しさを忘れました』

関連記事

赤ちゃんの手を握る母(フリー写真)

お母さんありがとう

昨日、午前4時22分に母が亡くなった。 風邪ひとつ引かない元気な母だった。 僕が幼稚園に入る頃には、もう父は居なかった。 借金を作って逃げたらしい。 母は早朝4…

お茶碗(フリー写真)

テーブルのお皿

私と淳子は、結婚して社宅で暮らし始めました。 台所には四人がやっと座れる小さなテーブルを置き、そこにピカピカの二枚のお皿が並びます。 新しい生活が始まることを感じました。 …

彼女(フリー写真)

彼女の導き

もう2年も前の話になる。 当時、俺は医学生だった。彼女も居た。 世の中にこれ以上、良い女は居ないと思う程の女性だった。 しかし彼女はまだ若かったにも関わらず、突如とし…

駅のホーム(フリー写真)

花束を持ったおじいちゃん

7時16分。 私は毎日、その電車に乗って通学する。 今から話すのは、私が高校生の時に出会った、あるおじいちゃんとのお話です。 ※ その日は7時16分の電車に乗るまでまだ…

カップル(フリー写真)

二人の幸せ

私は現在20歳です。 今付き合っている彼氏とは、去年の夏にナンパされて知り合った。 彼氏の見た目はいわゆるチャラ男で、それなりに遊んでいる感じ。 絶対好きになんてなら…

キャンドル(フリー写真)

キャンドルに懸けた想い

僕は24歳の時、当時勤めていた会社を退職して独立しました。 会社の駐車場で寝泊まりし、お子さんの寝顔以外は殆ど見ることが無いと言う上司の姿に、未来の自分の姿を重ねて怖くなったこと…

自衛隊員の方々(フリー写真)

直立不動の敬礼

2年前、旅行先での駐屯地祭での事。 例によって変な団体が来て、私は嫌な気分になっていた。 するとその集団に向かって、一人の女子高生とおぼしき少女が向かって行く。 少女…

ベトナムの夕日(フリー写真)

あの子は僕の友達なんです

ベトナムの村にある宣教師たちの運営する孤児院が、爆撃を受けてしまいました。 宣教師達と二人の子供達が即死し、その他の者も重傷を負いました。 重傷になった者達の中でも、8才の…

海の父娘(フリー写真)

例え火の中でも

私の両親は小さな喫茶店を営んでいます。 私はそこの一人娘で、父は中卒で学歴はありませんが、とても真面目な人でした。 バブルが弾けて景気が悪化して来た頃、父は仕事の暇な時間に…

色鉛筆で描かれた線(フリー写真)

弟の物語

私の家族は、父、母、私、弟の四人家族。 弟がまだ六歳の時の話。 弟と私は十二才も歳が離れている。凄く可愛い弟。 だけど私は遊び盛りだったし、家に居れば父と母の取っ組み…