中学2年生の夏から一年間入院し、その後の人生は自立への道だった。

高校受験、下宿生活、卒業後の就職、そして結婚。

家族への連絡は少なく、ホームシックを感じることもなかった。

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母はサッパリしていて、表情に乏しい人だった。

私は家族を愛していたが、連絡をしなくても心は繋がっていると信じていた。

しかし、今はその自己中心的な考えを反省している。

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就職先に母が電話をかけてきたとき、驚いた。

私の振り袖姿を写真に撮りたいという母の願い。

23歳の私は久しぶりに実家に帰った。

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写真館で赤と黒の振り袖を着、母は嬉しそうに見守った。

出来上がった写真を「私の宝物」と言って何度も見ていた母。

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成人式を迎える娘の振り袖選びに行き、母の嬉しそうな姿を思い出した。

娘に世話を焼き、心配することで「母」であることを実感する。

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母も私が19歳のときに「母らしく」あることを楽しんでいたのだろう。

当時、私は既に自立していて、母に甘えることもなかった。

母は私の心配をして、近くに置いておきたかったのではないか。

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若い頃の私を振り返る。

39キロまで痩せ、病院に入院した19歳の春。

母は見舞いに来て、リンゴを剥いて食べさせてくれた。

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出産時、母は孫の誕生を喜び、私が家にいることに幸せを感じていたかもしれない。

「母さんはね、一応あんたの歳も経験して今があるの」と言っていた母。

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娘が19歳になり、母親としての感情を理解し始める。

私の19歳の頃、母はどんな心境だったのだろう。

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一つ屋根の下で暮らす娘。

娘がいない暮らしを想像すると、当時の母の気持ちが理解できる。

「お母さん…。寂しかったよね」

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母は今67歳。

私が80歳になった時、母の気持ちを知る。

孤独や寂しさに暮れず、娘を生んで良かったと思える幸せな人生であるように願う。