おばあちゃんが注いだ愛情

公開日: 心温まる話

お年寄りの手(フリー写真)

こどもの発達がちょっとゆっくりで、保健センターに通っている。

そこの母子教室の最中、おばあちゃんと男の子が二人、迷い込んで来た。

「すみません、里親会の集まりの会場はここでしょうか?」

トイレに行く時に貼り紙を見たので、

「それなら、上の階の○○室ですよ」

と教えてあげた。

おばあちゃんは頭を下げながら、男の子達の手をしっかり握って去って行った。

でも○○室が引っ込んだ所にあって判り辛いことを思い出し、案内した方が良いかなと思って、子供を先生に預けて追い掛けた。

その時、前方から聞こえて来た漫画のような会話。

小さな男の子「さっきのが『おかあさん?』」

大きな男の子「うん、あんな感じ。でも僕らのおかあさんはおばあちゃんだから!

君と僕が違う所で生まれても兄弟であることみたいに、本当のお母さんでなくても、おばあちゃんがおかあさんだから」

小さな男の子「うん、綺麗なおかあさんたちより、おばあちゃんが一番優しいね、きっと」

おばあちゃんはただただ交互に男の子二人に微笑みかけていた。

その笑顔は本当に優しく、このおばあちゃんがこの男の子達にどれだけの愛情を注いでいるのか伝わって来て、何だか泣きたくなった。

関連記事

カレーライス(フリー写真)

クロベーの笑顔

俺が小学生の頃の話。 同じクラスに黒田平一(仮名)、通称クロベーというやつが居たんだ。 クロベーの家は母子家庭で、母親とクロベーと弟の3人暮らしだった。 クロベーの一…

北部ソロモン諸島(ブーゲンビル島)の戦い

貴様飲め!

俺のおじいちゃんは戦争末期、南方に居た。 国名は忘れたけど、とにかくジャングルのような所で衛生状態が最悪だったらしい。 当然、マラリアだのコレラだのが蔓延する。 おじ…

空(フリー写真)

お盆のある日

私には4年前、赤ちゃんの時に亡くなった子どもがいました。 昨年の8月のお盆のある時、上の娘が空を見上げて 「お母さん、空見てみて。ほら、空の雲の間に光っているところあるで…

柿(フリー写真)

果物の命

昔、24時間営業のスーパーで働いていた。 この時期はただえさえ寒い上に、店内に冷房が効いていて凄く寒かったな。 それはさておき、その年は柿が凄く美味しかったんですよ。 …

家族の手(フリー写真)

幸せな家族

私は長女が3歳になった時に長男を出産した。 長男が生まれるまで、私と長女は殆どずっと一緒に居た。 夫が居ない平日の昼間は、二人だけの時間だった。 でも子供が二人になる…

学校の机(フリー写真)

君が居なかったら

僕は小さい頃に両親に捨てられ、色々な所を転々として生きてきました。 小さい頃には「施設の子」とか「いつも同じ服を着た乞食」などと言われました。 偶に同級生の子と遊んでいて、…

空の太陽(フリー写真)

祖父が立てた誓い

三年前に死んだ祖父は、末期癌になっても一切治療を拒み、医者や看護婦が顔を歪めるほどの苦痛に耐えながら死んだ。 体中に癌が転移し、せめて痛みを和らげる治療(非延命)をと、息子(父)…

浜辺の母娘(フリー写真)

天国へ持って行きたい記憶

『ワンダフルライフ』という映画を知っていますか? 自分が死んだ時にたった一つ、天国に持って行ける記憶を選ぶ、という内容の映画です。 高校生の頃にこの映画を観て、何の気無しに…

消火活動(フリー写真)

救助から生まれた恋

5年前のある日、ある病院から火災発生の通報を受けた。 湿度が低い日だったせいか、現場に着いてみると既に燃え広がっていた。 救助のため中に入ると、一階はまだ何とか形を保ってい…

父と娘(フリー写真)

娘の望み

彼は今日も仕事で疲れ切って、夜遅くに帰宅した。 すると、彼の5歳になる娘がドアの所で待っていたのである。 彼は驚いて言った。 父「まだ起きていたのか。もう遅いから早く…