痛みを知る者

公開日: 仕事 | 心温まる話

バー(フリー写真)

自分でも理由は判らないが、気が付けば仕事のやる気を失くしていた。

会社を欠勤し、それが数日続いたある日の夜、強面の上司が自宅に来た。

最後通告かなと思いながら、上司の行きつけらしいショットバーへ連れて行かれた。

案の定、会社に出て来ない俺を気に掛けていた様子で、俺は何故かやる気が出ない事を正直に話した。

辞めようか悩んでいるとも。

強面の上司から意外な言葉が返って来た。

「人間は自分で思ってるよりもギリギリのバランスで生きてるんだよ。

走れば走る程、それだけバランスを崩し易くなる。

周りが見えなくなる。

少しだけ運が悪かったり、少しだけ考えが及ばなかったり。

体の痛みや疲労は分かっても、精神の痛みや疲れは分かり辛い。

他人の事なら尚更だが、自分の事は我慢してしまう。

お前は今、少し心が疲れているだけだ。

治るまでゆっくり休め。

いつか治った時、痛みを知ったお前は少し強くなる。

そして、その分だけ人に優しくなれる。

痛みを知った者が、次に傷付いた者を癒す薬になれるんだ。

だから、今は休め。いいから。な?

んで、いつか俺が疲れ果ててたら助けろよな(笑)」

カレーライス(フリー写真)

クロベーの笑顔

俺が小学生の頃の話。 同じクラスに黒田平一(仮名)、通称クロベーというやつが居たんだ。 クロベーの家は母子家庭で、母親とクロベーと弟の3人暮らしだった。 クロベーの一…

妊婦さんのお腹(フリー写真)

命懸けで教えてくれた事

13年前、俺は親元を離れて一人暮らしの大学生という名のろくでなしだった。 自己愛性人格障害の父親に反発しつつも、影響をもろに受けていた。 プライドばかり高く、傲慢さを誇りと…

空(フリー写真)

生まれつき

私は生まれつき足に大きな痣があり、それが自分自身でも大嫌いでした。 更に小学生の頃、不注意からやかんの熱湯をひっくり返してしまい、両足に酷い火傷を負ってしまいました。 それ…

虹(フリー写真)

人生

1960年に私は生まれて、今まで生きてきた。 いたずらっ子だった小学生時代。 落ちこぼれだった中学生時代。 レスリングに出会い、スポーツが何たるかを学んだ高校時代。 …

親子(フリー写真)

お袋からの手紙

俺の母親は俺が12歳の時に死んだ。 ただの風邪で入院してから一週間後に、死んだ。 親父は俺の20歳の誕生日の一ヶ月後に死んだ。 俺の20歳の誕生日に、入院中の親父から…

蛍(フリー写真)

蛍は亡くなった人の魂

祖父が死んで、もう12年になる。 幼い頃から、 「蛍は亡くなった人の魂だから、粗末に扱うな」 と祖父に教えられてきた。 ※ 去年の8月15日の夜、父と俺とで家族総…

カップル(フリー写真)

人の大切さ

私は生まれつき体が弱く、よく学校で倒れたりしていました。 おまけに骨も脆く、骨折6回、靭帯2回の、体に関して何も良いところがありません。 中学三年生の女子です。 重…

消火活動(フリー写真)

救助から生まれた恋

5年前のある日、ある病院から火災発生の通報を受けた。 湿度が低い日だったせいか、現場に着いてみると既に燃え広がっていた。 救助のため中に入ると、一階はまだ何とか形を保ってい…

花束(フリー写真)

大切なあなたに花束を

私は介護施設で働いています。 時々おじいちゃんやおばあちゃん宛に、ご家族の方よりお手紙や花束が届きます。 花束を持って行くと、皆さん集まって来ます。 自分かもしれない…

家族の手(フリー写真)

幸せな家族

私は長女が3歳になった時に長男を出産した。 長男が生まれるまで、私と長女は殆どずっと一緒に居た。 夫が居ない平日の昼間は、二人だけの時間だった。 でも子供が二人になる…