チョコをくれたお姉さん
公開日: 心温まる話
少し嬉しかった話。
去年の冬、高校受験もラストスパートの時の話。
中学の成績はなかなかだったから、志望校は進学校にした。
しかし中学3年生になってから全然成績が上がらない、と言うか下がる一方。
それは当たり前。受験前なのに1日2時間勉強すれば良い方だったから。
流石にまずいと思い始めて真面目に勉強するようになったけど、やはり始めるのが遅かった。
成績が全く上がらない。
自業自得だけど、思い直してからは人並み以上に勉強していたから、
「何で上がらないんだろう。私なんて…」
という感じで、もう軽く鬱っぽかった。
母子家庭だから、私立にはなるべく行けない。
でも成績は上がらない。
上がったとしても褒めてくれる人も誰も居ない。
親は仕事でいつも居ないし。
※
そして、冬のある日のこと。
もう何か全てどうでも良くなり、高校に行ければもういいや、という気持ちになっていた。
そんな感じで過去問をコンビニでコピーしていたら、入って来たお姉さんもどうやらコピー機を使うみたい。
過去問のコピーは時間がかかるから、その人に譲った。
それでまたコピーし始めていたら、そのお姉さんが来て、チョコを差し出した。
『へ?』という感じでボーッとしていたら、
「私も今年大学受験なんだ!あなたは高校受験かな? 過去問コピーしてたから、頑張ってるんだなあって思って!
辛いかもしれないけど、頑張ってね!思い詰めないで、偶には休んでもいいんだよ!チョコでも食べてさ!」
それだけなんだけど、何だか凄く嬉しくて。
頑張ってね、なんて言われたのもそう言えば始めてで。
チョコを受け取ってさよならした後、少し泣いてしまった。
そのチョコは凄く甘くて、何だか気持ちが変わって行く気がした。
※
その日から、ますます勉強した。
その日から、お姉さんのくれたチョコが好きになった。
お姉さんのおかげで、もう一回やる気を取り戻せた。
今は、その志望校に通っている。
お姉さん、元気かな…。
ありがとう!!