祖父母からのお小遣い
自分には77歳のばあちゃんがいる。
数ヶ月前にじいちゃんが亡くなり、最近はあまり元気が無い。
ばあちゃんの家には車で20分程で行ける距離だから、父と定期的に行くようにしている。
お墓のこととか、これから決めることが沢山あるのだけど、そう言えば実感したことがある。
※
じいちゃんの体調が悪くなってからは、家に行く度にお小遣いを貰っていた。
1000円だったり、2000円だったり、じいちゃんの気分によりけり。
学生からしたら有り難過ぎるし、母も「いいのに…」と言っていた。
でも、じいちゃんもばあちゃんも、
「お金の使い道って年寄りになったらそんなにないから」
と言い、わざわざポチ袋に入れて、ばあちゃんの達筆な字でいつも
『○○様
これからも頑張ってください
祖父母』
と書かれていた。
言葉は変わることがあり、テスト後だったら
『成績、良かったそうですね。また、頑張ってね!』
とか、コンクール前だと
『良い結果であるように、じいちゃんとばあちゃんも応援しています』
と書いてあった。
※
でもじいちゃんが亡くなってからは、
「ばあちゃん寂しいけん、あんたが泊りに来るなら1000円やろうかね」
と言っていた。
「1泊で1000円あげるけん、2泊して行ったら2000円よ」
と笑っていたけど、やはり一人って相当きついんだろうな。
しかし、この間もお小遣いを貰った。
『季節の変わり目、風邪には気を付けて』
と、これまた達筆な字で書かれていた。
『いやいや、ばあちゃんの方が気を付けてよ…』
と突っ込んだが、その下に『祖母』としか書かれておらず、
『ああ、そっか』
と思った。
50年以上連れ添って来た人が急に居なくなるのは悲しいんだな、と感じた。
だから、時間を見つけてばあちゃんに会いに行こうと思う。