これで仲直りしよう

お味噌汁(フリー写真)

昨日の朝、女房と喧嘩した。と言うか酷いことをした。

原因は、夜更かしして寝不足だった俺の寝起き悪さのせいだった。

「仕事行くの嫌だよな」

と呟く俺。

そこで女房が何を言っても俺は切れただろう。前例もあったし。

あいつもそれをよく知っているから、何も言わなかった。

それも解っていたけど、何だか馬鹿にされているような気もして、八つ当たりしてしまった。

凄く美味そうだったのに、折角あいつが作ってくれた味噌汁もおかずも、全部ぶちまけて暴言を吐いてしまった。

あいつは泣きながら、鍋に残った味噌汁を流しに捨てていた。

物凄く後悔したけど、用意してあった弁当も持たず、虚勢を張ったまま謝りもしないで、俺はそのまま会社に出掛けてしまった。

夜になって、気まずい思いを抱きながら帰宅した。

もしかしたら女房は実家に帰っているかもしれないと、内心不安だった。

しかし部屋の明かりは灯っている。しかも何やら良い匂いもする。

思い切ってドアを開けると、女房は俺の好物のビーフシチューの鍋を抱えて出迎えてくれた。

「これで仲直りしよう」

と笑顔で。

俺の方こそ、朝のお詫びに気の利いた土産の一つや二つ買って来るべきだったのに。

もう自分の勝手で女房に八つ当たりをしないと心に誓った。

本当はあの味噌汁食いたかったんだ。俺は。

駅のホームに座る女性(フリー写真)

貴女には明日があるのよ

彼女には親が居なかった。 物心ついた時には施設に居た。 親が生きているのか死んでいるのかも分からない。 グレたりもせず、普通に育って普通に生きていた。 彼女には…

万年筆(フリー写真)

わすれられないおくりもの

生まれて初めて、万年筆をくれた人がいました。 私はまだ小学4年生で、使い方も知りませんでした。 万年筆をくれたので、その人のことを『万年筆さん』と呼びます。 万年筆…

駅のホーム(フリー写真)

母を守る子

昔は JR大久保駅(兵庫県)から通勤していたのですが、週2日は午前10時までに舞子に着けば良い時期がありました。 朝はゆっくりできるし、電車は空いていて快適でした。 ホー…

野球ボール(フリー写真)

頑張ったよ

常葉大菊川(静岡)と14日に対戦し、敗れた日南学園(宮崎)。 左翼手の奥野竜也君(3年)は、がんで闘病中の母への思いを胸に、甲子園に立った。 竜也君が中学1年生の秋、ゆか…

サイコロ(フリー写真)

あがり

俺は小さい頃、家の事情でばあちゃんに預けられていた。 当初は見知らぬ土地に来てまだ間も無いため、当然友達も居ない。 いつしか俺はノートに、自分が考えたすごろくを書くのに夢中…

ダイビング(フリー写真)

海中の恋

一年前から行きたかったダイビング体験ツアーに行くことになった。 本当は彼女と行きたかったのだが、春が来る前に別れてしまった。 だから仕方なく、男三人で南国へ向かった。 ※…

教室(フリー写真)

先生の決心

俺のばあちゃんから聞いた、ばあちゃんの小学生時代の話をする。 ばあちゃんが小学5年生の時の担任の先生、島田先生はとても良い先生だったそうだ。 とても熱心で生徒思いの先生だ…

夕焼け(フリー写真)

夕焼けの絵葉書

ふと思い出したのだけど、亡くなってしまった子から絵葉書をもらったことがある。 中学生の時の隣のクラスの女の子で、病気で殆ど学校に来ないまま亡くなってしまった。 うちの学校は…

お見舞いの花(フリー写真)

父の唯一の楽しみ

私の家系は少し複雑な家庭で、父と母は離婚して別々に暮らしています。 私は三姉妹の末っ子で、父に会いに行くのも私だけでした。 姉二人なんて、父と十年近く会っていません。 ※…

手(フリー写真)

無償の愛

おじいちゃんは老いから手足が不自由で、トイレも一人で行くのは厳しい。 だから、いつもはおばあちゃんが下の世話をしていた。 おばあちゃん以外が下の世話をするのを嫌がったからだ…