再会のディズニーランド
その日は約束の時間ぎりぎりに、舞浜駅のホームから階段を駆け下りた。
雑踏の中で待っていたのは、元妻とミニリュックを背負った小学3年生の息子だった。
半年ぶりに会う息子は、前よりも一回り大きくなっていた。
じっと息子を見ていると、元妻が「じゃあ、お願いね」とパスポート(引換券)とメモ紙を渡してくれた。
メモには息子の好きなアトラクションや食べ物が丁寧に書かれていた。
※
ランドへ向かう道のり、父と子は無言だった。
何を話せばいいのか、どう接すればいいのか、戸惑いがあった。
しかし、ランドの門をくぐると、少しずつ会話が始まった。
息子と一緒にアトラクションを楽しみながら、距離が縮まっていく感じがした。
※
一緒に笑い、時には手をつないで、8時間の貴重な時間を過ごした。
ミートでキャストに「おとうさん」と呼ばれ、その言葉が心に響いた。
長く感じた時間もあっという間に過ぎ、夕暮れの駅で息子を元妻に託した。
※
ひとりで次の電車を待ちながら、息子の大きな声が耳に残る。
「おとうさん、今度はシーだよ!絶対、一緒に行こうね!」
その言葉が、久しぶりに聞いた「おとうさん」という呼び名だった。
電車の中で、スプラッシュで撮られた写真を眺めると、涙がこみ上げてきた。
口を大きく開けて笑う、父と息子の幸せな瞬間。
今日は、父としての自分を取り戻す一歩を踏み出せた日だった。