カテゴリー: 心温まる話

読んでいるうちに、胸がじわりと温かくなる話を集めました。日常の中に隠れた誰かの優しさ、見えないところで続けられた愛情、言葉にならなかった想い。泣けるというより、しみじみと何かが伝わってくる——そんな感動する話をお届けします。

ほどこしと親切

私がまだ十代の頃の話です。 サーカスの入場券を買うために、父と私は長い列に並んで順番を待っていました。 私たちの前に居るのは、ようやくあと一家族だけとなりました…

最高のママ

もう十年も前の話。 妻が他界して一年が経った頃、当時八歳の娘と三歳の息子がいた。 妻がいなくなったことをまだ理解出来ないでいる息子に対し、私はどう接してやれば良…

祖母から孫への想い

俺は母とおばあちゃんの三人で暮らしている。 母と親父は離婚していない。 パチンコなどのギャンブルで借金を作る駄目な親父だった。 母子家庭というのはやはり経済的に…

会いに来てくれた猫

五年前に飼っていた茶トラ猫。 当時、姉が家出同然で出て行ってしまい、家の雰囲気が暗かったのを憶えています。 そんなこともあり、私は家では出来るだけ明るく振る舞っ…

娘の望み

六歳の娘が、こづかいを少しずつ貯めて、買おうとした、たった一つの願い。妻を亡くし印刷工場で残業に追われる父と娘の絆を描いた泣ける話です。本当に大切なものを置き去…

一生懸命に取り組むこと

下町の古い銭湯の番台に流れ着いた、何をしても続かない私。逃げ癖のある女が仕事の本当の温かさに気づくまでを描いた泣ける話です。子どものころに書いた忘れていた願いと…

母を守りたい

父の暴力から母と二人で逃げてきた痩せた少年が、自分の足で剣道道場を訪ねてきました。お母さんを守れるくらい強くなりたい。その一途な願いを胸にひたむきに打ち込む姿は…

本当の友達

中学を出てすぐ、港町の鉄工所で働き始めた十五の僕は、入った洋食屋で品書きの漢字がどうしても読めず、とんちんかんな注文をして恥をかきました。すると同級生が黙って同…

伝わる気持ち

聞こえないはずの「愛してる」に、ろう者の妻はなぜ振り返ったのか。音のない家で、光と振動だけを頼りに子の誕生を待つ若い夫婦の、声を超えたひとことを静かに描いた泣け…

やりたいこと頑張りなさい

両親の離婚で家計は苦しく、私は高校を中退して解体現場で働きました。漫画もゲームも売り払った私に、母はカメラだけは売るなと言いました。やつれた顔で差し出された誕生…

おめでとさん

親子の絆を描いた、心あたたまる泣ける話です。お金のことで両親と揉め、逃げるように実家を出た僕。結婚の報告に帰った日、無口な父が黙って差し出した一冊の通帳の数字を…

最高に幸せなこと

これは、港町の小さな定食屋で起きた、心あたたまる泣ける話です。卵が大嫌いだった男の子が、私の焼いただし巻き卵だけは笑顔で食べてくれました。料理を作る喜びと、誰か…

土のにおいの紳士

駆け出しの車掌だった四十年前のある夜、寝台特急に、土のついた作業着の老人が孫の顔を見に乗り込んできました。身なりのいい婦人は隣を嫌い席替えを要求します。車掌長が…

藍に染まった手

初めての給料で両親を食事に招いた、新米保育士の私。藍染職人の父は終始不機嫌で、二十年の苦労は晩飯一回で帳消しにはならないと言い放ちました。盃を支える青く染まった…