ファーストクラス

公開日: 仕事 | 心温まる話

飛行機の座席(フリー写真)

「ちょっとスチュワーデスさん!席を変えてちょうだい」

ヨハネスブルグ発の混んだ飛行機の中で、白人中年女性の乗客が叫んだ。

「何かありましたか?」

「あなた、解らないの? 黒人なんかの隣には座りたくないのよ!こんな人、迷惑だわ」

女性の隣では、黒人男性が憮然とした顔で座っている。

「お客様、少々お待ち下さいませ。空いている席を確認して来ます」

乗務員は足早に立ち去り、周囲の乗客はざわざわと不穏な空気。

暫くして乗務員が戻って来た。

「お待たせしました。ファーストクラスに一つ空きがありますので、どうぞそちらへ。

本来ならこういうことは出来ないのですが、隣の席がこんな人では確かに迷惑でしょうと、機長が特別に許可しました。さ、どうぞ」

周囲の乗客は、にこやかに黒人男性を見送った。

関連記事

花(フリー写真)

母の匂いと記憶

先日、母の日に実家へ帰った時、ジョイントを持って行った。 兄に子供が生まれた関係で家は禁煙になっていて、俺の部屋も物置き状態。 母親の隣で寝る事になったんだけど、何か気恥ず…

親子(フリー写真)

お袋からの手紙

俺の母親は俺が12歳の時に死んだ。 ただの風邪で入院してから一週間後に、死んだ。 親父は俺の20歳の誕生日の一ヶ月後に死んだ。 俺の20歳の誕生日に、入院中の親父から…

家族の手(フリー写真)

いつかの日曜日

私が4歳の時、父と母は離婚した。 当時は祖父母と同居していたため、父が私を引き取った。 母は出て行く日に私を実家へ連れて行った。 家具や荷物が沢山置いてあって、叔母の…

シロツメグサ

手話で結ぶ絆

私たちの娘は3歳で、ほとんど聞こえません。 その現実を知った日、私と妻はただただ涙に暮れました。繰り返し泣きました。 難聴という言葉が娘を別の世界の生き物に見せてしまうほ…

豚骨ラーメン(フリー写真)

父の記憶

俺の父は、俺が6歳の時に死んでしまった。 ガンだった。 確か亡くなった当時の年齢は34歳だったと思う。 今思えばかなりの早死にだった。 呆気なく死んでしまった…

結婚指輪(フリー写真)

会社対抗クイズ

近所に住んでいるご夫婦の話です。 その夫婦には子供が居らず、そのせいか私は子供の頃から可愛がってもらっていました。 おじさんは無口な土建屋の事務員。おばさんは自宅で商売をし…

花嫁(フリー写真)

血の繋がらない娘

土曜日、一人娘の結婚式だったんさ。 出会った当時の俺は25歳、嫁は33歳、娘は13歳。 まあ、要するに嫁の連れ子だったんだけど。 娘も大きかったから、多少ギクシャクし…

父の手(フリー写真)

受け継がれた情熱

俺の親父は消防士だった。 いつ何があってもおかしくない仕事だから、よく母に 「俺に何かあっても、お前らが苦労しないようにはしてる」 と言っていたのを憶えている。 ※…

ブーケを持つ花嫁(フリー写真)

手渡しのブーケ

私はウエディングプランナーの仕事をしています。 これまで沢山の幸せのお手伝いをさせていただきましたが、忘れられない結婚式があります。 新婦は私より大分年下の十代で、可愛らし…

空(フリー写真)

才能の代わりに

小学生の時、少し知恵遅れのA君が居た。 足し算、引き算などの計算や、会話のテンポが少し遅い。でも、絵がとても上手な子だった。 彼はよく空の絵を描いた。抜けるような色合いには…