二人目の子供
俺が結婚したのは20歳の頃だった。当時、妻は21歳。学生結婚だった。 二年ほど貧乏しながら幸せに暮らしていたのだが、ある時、妊娠が発覚。 俺は飛び上がるくらい嬉…
じっくり読みたい方のために、長編の泣ける話を集めました。短編では描ききれない人物の背景、感情の重なり、時間の経過——読了後に深い余韻が残る、長編の感動する話をお届けします。
俺が結婚したのは20歳の頃だった。当時、妻は21歳。学生結婚だった。 二年ほど貧乏しながら幸せに暮らしていたのだが、ある時、妊娠が発覚。 俺は飛び上がるくらい嬉…
俺には幼馴染の女の子が居た。 小学校から中学校まで病気のため殆んど普通の学校に行けず、いつも院内学級で一人で居るせいか人付き合いが苦手で、俺以外に友達は居なかっ…
5年前のある日、ある病院から火災発生の通報を受けた。 湿度が低い日だったせいか、現場に着いてみると既に燃え広がっていた。 救助のため中に入ると、一階はまだ何とか…
今から6年前の話です。 僕がまだ十代で、携帯電話も普及しておらずポケベル全盛期の時代の事です。 僕はその頃、高校を出て働いていたのですが、二つ年上の女性と付き合…
一昨年の夏、五歳の息子と昆虫展へ向かう途中、渋滞の最後尾で大型トラックに追突された。潰れた助手席から息子を救い出したのは、通りかかった迷彩服の若い隊員だった。病…
ある日、ディズニーランドのインフォメーションに、一人の男性が暗い顔でやって来ました。 「あの…落とし物をしてしまって」 「どういったものでしょうか?」 「サイン…
この前、娘が大学受けたんですよ、初めてね。 で、生まれて初めて娘の合格発表を迎えた訳ですわ。正直、最初は合格発表を見に行った娘の電話を待つのなんて簡単だと思って…
秋田・大館の曲げわっぱ工房で、妻は樺縫いの最後のひと針だけを、毎晩かならず翌朝へ残していました。妻を失った冬、四つになる娘の一言と、老いた職人の静かな証言が、そ…
二月の児島、学生服の裁断室に妹から電話が入った。上京して九年、家族を呼ぶと言った妹は、病室で何度も「迷惑掛けてゴメンね」と繰り返した。妹のゴメンねに息をひとつ吸…
背中を向けたまま何も言わない父でした。合格の日に病室から掛かってきた一本の電話と、物置のブルーシートの下で五年ものあいだ鳴りつづけていた小さな音の正体。浜松のピ…
萩の夏みかん菓子屋に十八で住み込んだ私が、亡き師匠の遺した一本のテープを聞いたのは、その娘の結婚式の日でした。二十年ものあいだ剝がれたラベルの名前を読み違えてい…
雪深い二月の花屋に、小さな女の子がたった一人で花を買いに来ました。片方だけ握られたミトンと、母のために選んだオレンジのチューリップ。花屋の主人が何年経っても忘れ…
妻の連れ子だった娘を、鬼瓦を彫る職人の私は十二年かけて育てました。血の繋がらない父娘に向けられた世間の冷たい目、そして結婚式で娘が静かに明かした「鬼の裏に彫られ…
七時十六分の電車。ホームで隣に座るおじいさんは、毎朝オレンジ色の花束を抱えていました。輪ゴムを二重に留める理由も、来年の春の種をもう採り終えていた理由も、私は何…
付き合って三年の彼女に、とつぜん別れを告げられました。理由は「ほかに好きな人ができた」。けれど半年後、私はその嘘の裏に隠された真実を知ります。時計修理士の私と、…