カテゴリー: 長編

じっくり読みたい方のために、長編の泣ける話を集めました。短編では描ききれない人物の背景、感情の重なり、時間の経過——読了後に深い余韻が残る、長編の感動する話をお届けします。

雪の峠で握られた手

昭和四十四年の豪雪の峠。乗合バスが横転し、七歳の姪は座席の下に閉じ込められた。半狂乱の私を救い出したのは、黄色い合羽の若い除雪作業員だった。背中を裂かれながら笑…

灯台守の爺と孫の小舟

昭和の岬に立つ灯台守の爺が、亡き娘の忘れ形見の孫を、しょっぱい味噌汁と誕生日ごとに彫った木彫りの小舟で、四十年かけて育て上げた。孫を初めての長い航海へ送り出す朝…

父が紋付の裏に遺した言葉

昭和の城下町の貸衣装店を舞台にした泣ける話。先に逝った父の黒紋付を、息子の祝言のために仕立て直してほしい——そう持ち込まれた一枚の紋付の裏地から、二十年眠ってい…

風鈴職人と小さなお客さん

昭和の港町を舞台にした泣ける話。風鈴職人の私のもとへ、海から戻らぬ父のために、泣いてばかりの母を笑わせたいという男の子が訪れた。豆粒ほどの小さな風鈴に託した祈り…

桜を綴じた最後の手紙

昭和の城下町で時計店を継いだ男と、北の港町へ移っていった人。季節の押し花を挟んだ文通は七年目の春に途絶え、誤解を抱えたまま二十数年が流れた。出されることのなかっ…

親方の革砥を継いだ夏

昭和の終わり、北関東の城下町で三代続いた床屋を継いだ続かない俺。大叔父である先代から受け継いだ親方の革砥と、三十年分の常連カルテだけを頼りに刃を握る。嵐の朝、シ…

青い丸の約束

夜勤タクシー運転手として三十年。退職の日、妻が描いた古い地図を見つけた。赤い丸は二人で行った場所、青い丸はいつか行きたい場所。青い丸は一つも叶っていなかった。…

愛犬が教えてくれたこと

俺が中学2年生の時、田んぼ道に捨てられていた子犬を拾った。 名前はシバ。 雑種だったけど柴犬そっくりで、親父がシバと名付けた。 シバが子犬の頃、学校から帰って来…

ケーキ屋の親友の話

俺の親友テツヤは小さい頃からの大親友。良いことも悪いことも一緒に経験した親友。 中学の時、ケーキ屋を経営しているテツヤのオヤジが脳梗塞で倒れた。 幸い一命を取り…