雪の峠で握られた手
昭和四十四年の豪雪の峠。乗合バスが横転し、七歳の姪は座席の下に閉じ込められた。半狂乱の私を救い出したのは、黄色い合羽の若い除雪作業員だった。背中を裂かれながら笑…
子供の言葉は、まっすぐで、予想もしないところを突いてきます。子供にまつわる泣ける話には、純粋さと愛情と、親としての涙があります。子育て中の方にも、子供だったあなたにも、ぜひ読んでほしい短編です。
昭和四十四年の豪雪の峠。乗合バスが横転し、七歳の姪は座席の下に閉じ込められた。半狂乱の私を救い出したのは、黄色い合羽の若い除雪作業員だった。背中を裂かれながら笑…
海辺の町の小さなプラネタリウムで星を映す私と、心臓の弱い幼い少女ほのか。名もない星に名前をつけたあの子が、落とした星座ノートの最後の頁にそっと描き残していたもの…
昭和の岬に立つ灯台守の爺が、亡き娘の忘れ形見の孫を、しょっぱい味噌汁と誕生日ごとに彫った木彫りの小舟で、四十年かけて育て上げた。孫を初めての長い航海へ送り出す朝…
城下町の若い庭師が、亡き親方の忘れ形見である血の繋がらない娘を、ひとりで育てた三十数年の物語。世間の疑いの目に耐え抜いた不器用な父娘の絆は、娘が嫁ぐ日の一通の手…
心温まる感動の泣ける話。四国の和紙の町ででくのぼうと呼ばれた少年が、震える手で描いた一匹の金魚。旅の紙芝居屋は、その絵札を生涯いちばん上に置き続けた。四十年後の…
熊本の路線バスを15年運転する父に、息子は毎朝こっそり飴玉を一粒置き続けていた。泣ける話──親子の距離と、見えないところで育まれた深い絆の感動実話。…
母の夜勤の夜、八歳の俺は函館の坂下にある『みなと食堂』のおばあさんに救われた。彼女がくれた小さな真鍮の笛にこめられた秘密と、世代を超える優しさの連鎖を描く心温ま…
「なつき、宿題したか」それだけしか言えない不器用な父が、担任の言葉で初めて知った。娘は毎朝、父の安全帯にそっと息を吹きかけていた。転ばないように、と。…
毎日スケッチブックに絵を描き続けていた5歳の無口な男の子・龍之介。突然の転園でお別れを言えなかった保育士の元に、冬の終わりに小包が届いた。…
不治の病で5歳の息子を亡くした夫婦が、生前の約束を果たすため遊園地を訪れる。空の椅子に感じた小さな温もりが、二人に再び生きる力を与えてくれた。…
この前、一人娘が嫁に行った。 「目に入れても痛くない」と、胸を張って言える娘だった。 結婚式で、娘は俺の目をまっすぐ見て、こう言った。 「お父さん、今までありが…
娘が、六歳で死んだ。 あまりにも突然で、理由を探す暇すらなかった。 ある日、風呂に入れている最中に、娘は意識を失った。 小さな身体が、急に力を失って、呼びかけて…
JR大久保駅から通勤していた頃の話です。 当時、週に 2日だけ「 10時までに舞子に着けばいい」という勤務がありました。 朝はゆっくりできるし、電車も空いていて…
あなたが天国に足早に旅立って、もう十二年になります。 あのとき二歳だった娘も、 生まれたばかりだった息子も、今ではすっかり中学生です。 泣き声ばかり聞かせていた…
60歳を過ぎて、癌だと告げられても、私は治療はしないつもりでいます。 5年前には一人娘も無事に結婚しましたし、親としての務めも、もうひと通りは果たせたと思ってい…