青い丸の約束
夜勤タクシー運転手として三十年。退職の日、妻が描いた古い地図を見つけた。赤い丸は二人で行った場所、青い丸はいつか行きたい場所。青い丸は一つも叶っていなかった。…
長い時間を一緒に過ごした二人の話には、言葉では説明できない深さがあります。すれ違い、誤解、後悔、そしてその先にある愛情。夫婦にまつわる泣ける話——結婚することの意味を改めて教えてくれる短編を集めました。
夜勤タクシー運転手として三十年。退職の日、妻が描いた古い地図を見つけた。赤い丸は二人で行った場所、青い丸はいつか行きたい場所。青い丸は一つも叶っていなかった。…
大分・長湯温泉の朝、四十年前の琺瑯の弁当箱を開けると、底に色褪せた付箋が一枚だけ残っていました。包みの結び目がいつも左に寄っていた理由、妻が四十年切らさなかった…
妻が遺した毛糸の袋を、三年越しに開けた。途中で止まった白いマフラーと、袋の底に隠された小さなノート。そこには、余命を一人で抱えながら俺のために編み続けた妻の言葉…
この前、一人娘が嫁に行った。 「目に入れても痛くない」と、胸を張って言える娘だった。 結婚式で、娘は俺の目をまっすぐ見て、こう言った。 「お父さん、今までありが…
あなたが天国に足早に旅立って、もう十二年になります。 あのとき二歳だった娘も、 生まれたばかりだった息子も、今ではすっかり中学生です。 泣き声ばかり聞かせていた…
私の命は、まもなく静かに尽きます。 不思議と、恐れはありません。 ただ、あなたが大丈夫かだけが心配です。 恋愛ドラマで私より先に泣いていたあなたを、置いていくこ…
日曜の夜、ビールを飲みながら書いている。 読みにくかったらすまない。 そして、どのスレに書けばいいのか分からなかった。 ただ、この気持ちをどこかに置いておきたか…
そんな日々の中、息子が一歳の誕生日を迎えた。 いつも通り保育園に迎えに行き、帰宅すると、ポストに二通の可愛らしい封筒が入っていた。宛名は、息子と私。 差出人の名…
先日、小学5年生の娘が何かを書いているのを見つけた。 それは、亡き妻への手紙だった。 「ちょっと貸して」 そう言って、そっと中身を見せてもらった。 まだ拙い文字…
俺は、これまでの人生で三度だけ、神様にすがったことがある。 ※ 最初は、七歳のとき。 両親が離婚し、俺は父方の祖父母に預けられた。 祖父母はとても厳しく、愛情と…
私の夫は、結婚する前に脳の病気で倒れ、死の淵を彷徨いました。 その知らせを私が知ったのは、倒れてから5日も経ってからのことでした。 彼の家族が病院に駆けつけた際…
新潟の式場で流れた、亡き母のビデオレター。鉄筋工の父へ宛てた最後の五行に、二百人の会場が音をなくしました。半年後、画面が三度だけ下がる理由と、箱に書かれたひらが…
あなたは雪を描くとき、白い絵の具を使わない人でした。夏の病室で「ゆきがみたい」と言われ、僕は真夏の富士山へ登りました。間に合わなかったあの夏と、枕元に置いていっ…
娘を背に、小さな日の丸の旗を振って、あなたを見送ってから―― もう、半世紀が過ぎてしまいました。 たくましいあなたの腕に抱かれたのは、ほんの、ほんのつかの間でし…
昨日の朝、女房と喧嘩をした。いや、喧嘩なんてもんじゃない。酷いことをしてしまった。 原因は、前の晩の夜更かし。寝不足で不機嫌なまま起きた俺の、最悪の寝起きだった…