タグ: 感動

割れ寒天と四十年の嘘

寒天づくりの町に嫁いだ私は、四十年ものあいだ夫に小さな嘘をついていました。夫が毎冬とっておいた割れ寒天の行き先を、廃業を決めた最後の冬に、思いがけない訪問者から…

妹が遺した湯呑みと姪の涙

山あいの窯場で妹を静かに見送った陶芸家の私。強くあろうと涙をこらえ続ける私に、四歳の姪がかけたひと言が、凍りついた心を静かにほどいていく。妹を残した若い医者への…

義父が黙って巻いた時計

駅前の小さな時計店を継いだ婿の俺と、一度も直し方を教えてくれない不器用な義父。国家試験の合格を病室から不器用に祝う電話と、義父が四十年止めたままの形見の振り子時…

父が紋付の裏に遺した言葉

昭和の城下町の貸衣装店を舞台にした泣ける話。先に逝った父の黒紋付を、息子の祝言のために仕立て直してほしい——そう持ち込まれた一枚の紋付の裏地から、二十年眠ってい…

風鈴職人と小さなお客さん

昭和の港町を舞台にした泣ける話。風鈴職人の私のもとへ、海から戻らぬ父のために、泣いてばかりの母を笑わせたいという男の子が訪れた。豆粒ほどの小さな風鈴に託した祈り…

血の繋がらない娘と楓

城下町の若い庭師が、亡き親方の忘れ形見である血の繋がらない娘を、ひとりで育てた三十数年の物語。世間の疑いの目に耐え抜いた不器用な父娘の絆は、娘が嫁ぐ日の一通の手…

硝子職人と海色の浮き玉

硝子職人の私を唐突に振った幼馴染の凛子。半年後、妹からの電話で知った真実は、重い病でひとり身を引いた、彼女の優しい嘘だった。海色の浮き玉に祈りを込めて、彼女のも…

機織りの伯母がくれた杼

昭和の織物の町で、無口な機織りの伯母に育てられた私。家業を継ぐのを拒み、ひどい言葉を投げつけた後、伯母は病に倒れた。和解できぬまま迎えた別れの間際、震える手で渡…

朝霧をわたる舟の灯り

心に灯る感動の泣ける話。行くあてをなくした娘を拾ったのは、霧深い湖の老いた渡し守だった。夜明けごとに舟提灯を灯し、湖をわたり続けた爺さま。その灯りがある限り、人…

母がボタンを付ける理由

母が倒れて、私は商店街の小さなクリーニング店に立った。カウンターの隅の青い缶には、色も形もばらばらのボタンが何百個。常連客の一言で、私はその缶の正体を知る。見送…