タグ: 感動

機織りの伯母がくれた杼

昭和の織物の町で、無口な機織りの伯母に育てられた私。家業を継ぐのを拒み、ひどい言葉を投げつけた後、伯母は病に倒れた。和解できぬまま迎えた別れの間際、震える手で渡…

蛍さんがくれたお手玉

雪深い湯治場に冬だけ来ていた、足を患う蛍さん。退屈な谷の子供たちに、蛍さんはお手玉と歌を教えてくれた。四十年後、宿を畳む日に妹が届けた一冊の手帳が明かす、本当に…

朝霧をわたる舟の灯り

心に灯る感動の泣ける話。行くあてをなくした娘を拾ったのは、霧深い湖の老いた渡し守だった。夜明けごとに舟提灯を灯し、湖をわたり続けた爺さま。その灯りがある限り、人…

母がボタンを付ける理由

母が倒れて、私は商店街の小さなクリーニング店に立った。カウンターの隅の青い缶には、色も形もばらばらのボタンが何百個。常連客の一言で、私はその缶の正体を知る。見送…

猫が運んだ茶のボタン

昭和の終わり、雪深い町の小学校。夜ごと窓辺に牛乳を置く独りの女教師と、一匹の三毛猫。猫の恩返しのように、口を閉ざした転校生の心が、少しずつほどけていきます。一つ…

恩師の体温計

戦後すぐの山あいの貧しい村で病弱だった私の脇に、恩師の体温計を毎日挟みに来てくれた矢島先生。四十年後、記憶を失い私を忘れた先生に、私は同じ体温計で五分の検温を続…

実話|紅花染めの白猫

昭和六十年の米沢、紅花染めの白猫を私はいつも追い払っていた。寡黙な親方が四十年誰にも告げず欠けた茶碗で養い続けてきた本当の理由は、空襲で失った五歳の妹『文子』へ…

ばあちゃんの真空管

認知症で僕の名前を忘れた祖母。それでも深夜のAMラジオから僕の声が流れた瞬間、彼女は『ホタくん、また喋ってる』と呟いた──真空管ラジオが繋いだ最後の言葉を綴る、…