タグ: 感動

青い丸の約束

夜勤タクシー運転手として三十年。退職の日、妻が描いた古い地図を見つけた。赤い丸は二人で行った場所、青い丸はいつか行きたい場所。青い丸は一つも叶っていなかった。…

千の祈りの数え方

小学生のころ、二人でよく折り紙の鶴を折った。大人になって離れ離れになった幼馴染の母が、ある日花屋を訪ねてきた。娘が折り続けていた鶴のことを話してくれた。…

電話を切った夜

十年前、彼女は突然電話を切って、そのまま姿を消した。理由も聞けないまま月日が過ぎ、タクシー運転手になった私は、ある夜、偶然すべてを知ることになった。…

兄の手帳と声

下町の工務店で逝った兄の遺品から見つかった手帳の走り書き。古いスマートフォンに残された27件のボイスメモに、介護士の妹に伝えられなかった言葉が静かに残されていた…

枯れない花束

閉店した花屋の棚の裏から見つかった一枚の写真。元恋人が二十年前にそっと置いていった、声にならなかった想いの手紙。商店街の花屋を畳んだ男が気づいた、あの日の嘘と赦…

路地に立てかけられた板

和歌山・湯浅の醤油蔵が並ぶ細い路地で、置き忘れたスケッチブックが白い袋と一枚の板に守られていました。軒下に立てかけられた板が四十年前から誰のために置かれていたの…

一の位だけ鉛筆の父の帳面

高校一年の夏に父のがんを知り、八戸の市場に立ち続ける背中を見ていました。父の帳面は一の位だけが鉛筆です。その数字の意味と、最後の一年に父が市場で呼ばれていた名前…