ぬこさま

公開日: ペット | 心温まる話 |

黒猫(フリー写真)

今年のGW明けの頃のこと。

前の日から上司の機嫌が悪く、八つ当たりばかりされていた。

その日も私の力ではどうしようもないことで怒られた挙句、酷い言葉を浴びせられたり身体的欠陥を指摘されたりして、本当にこの世が嫌になった。

もともと鬱持ちなので、薬は家に山ほどあった。

最近の薬は安全だから、薬をがぶ飲みしたところで死ねるとは思えなかった。

でもその時はどうなってもいいやという気持ちで、手当たり次第に薬を引っ張り出し、容器からパキパキ出し始めた。

ひたすらパキパキやっていると、いつも薬のアルミのパッケージで遊ぶのが好きな、うちのぬこさまが音を聞きつけてやって来た。

いつもは寝る前に私が薬を飲んだ後、薬のカラでネコサッカーをやるのだけど…。

その時は私が大量の薬をベッドの上に並べているのを見て、タタターッと走って来て

「パーン!」

と私の手や顔を平手打ちし、更に並べてあった薬もバラバラに散らばした上で

「みゃお~!!みやあお~~!!」

と鳴き始めた。

私は一瞬、呆然としていたけど、ぬこさまの異様な鳴き声で家族が何事かと様子を見に来た。

こうして家族にしこたま怒られ、行き付けの病院の先生にもこってりしぼられ、薬がぶ飲み作戦は失敗に終わった。

でも、私の精神状態を上司の上司が知ることとなり、私に八つ当たりした上司は幹部会議で晒し上げにされたらしい。

それ以来、私が寝る頃になると、ぬこさまはどこからかやって来て、私が正当な量だけの薬を飲んでいるか監視するかのように、横に居てじーっと見ているようになった。

こんな私と一緒に居てくれるぬこさま、本当にありがとう。。・゚・(ノД`)・゚・。

関連記事

婚約指輪(フリー写真)

玩具の指輪

高校生の頃の話。 小さな頃から幼馴染の女がいるのだが、その子とは本当に仲が良かった。 小学生の頃、親父が左手の薬指に着けていた指輪が気になって、 「何でずっと着けてる…

ハート(フリー素材)

残りの一年

彼女に大事な話があるからと呼び出した。 彼女も俺に大事な話があると言われて待ち合わせ。 てっきり別れると言われるのかと思ってビビりながら、いつものツタヤの駐車場に集合。 …

ベンチに座る老夫婦(フリー写真)

最初で最後のラブレター

脳梗塞で入退院を繰り返していた祖父。 私たち家族は以前からの本人の希望通り、医師から余命があと僅かであることを知らされていたが、祖父には告知しないでいた。 「元気になって、…

花束(フリー写真)

大切なあなたに花束を

私は介護施設で働いています。 時々おじいちゃんやおばあちゃん宛に、ご家族の方よりお手紙や花束が届きます。 花束を持って行くと、皆さん集まって来ます。 自分かもしれない…

駅のホーム(フリー写真)

花束を持ったおじいちゃん

7時16分。 私は毎日、その電車に乗って通学する。 今から話すのは、私が高校生の時に出会った、あるおじいちゃんとのお話です。 ※ その日は7時16分の電車に乗るまでまだ…

犬(フリー写真)

愛犬が繋いだ絆

11年間、飼っていた愛犬が亡くなった。 死ぬ前の半年間、自分はろくに家に帰らず、世話も殆どしなかった。 その間にどんどん衰えて行っていたのに、あまり見ることも触ることもなく…

手を繋ぐ母と娘(フリー写真)

最高のママ

もう十年も前の話。 妻が他界して一年が経った頃、当時八歳の娘と三歳の息子がいた。 妻がいなくなったことをまだ理解出来ないでいる息子に対し、私はどう接してやれば良いのか、父親…

ローカル電車(フリー写真)

特別な千円札

学生時代、貧乏旅行をした。 帰途、寝台列車の切符を買ったら残金が80円! もう丸一日、何も食べていない。 家に着くのは約36時間後…。 空腹をどうやり過ごすか考…

猫(フリー写真)

愛猫との別れ

私がまだ高校生の冬、家で飼っている猫が赤ちゃんを産みました。しかも電気毛布を敷いた私の布団で。 五匹も産んだのですが、次々と飼い主が決まり、とうとう一匹だけになりました。 …

恋人同士(フリー写真)

がんばろうや

親父がサラ金で借金を作って逃げた。 それで、とうの昔に別居していた母さんと住む事になった。 友達にも母さんにも明るく振る舞っているけど、正直参っている。 「あんたは強…