昔話だけど。
実家の猫は赤ちゃんの時、空き地で目も潰れて放置され、泣き喚いていたところを保護したんだ。
正直、化け猫のようで触るのも躊躇するほどの悲惨さだった。
目は病院で治療してもらって開いたけど、命の保証は出来ませんと言われた。
だけどちゃんと育ってくれてね。
本当に毛並みも美しく、ビックリするほどの美猫になったんよ。
ただ、あの空き地で声の限り鳴き続けたせいか声帯が潰れ、鳴かない猫だった。
※
で、時は流れてさ。
俺が人に裏切られたり、人生の辛苦を舐めた時期があってね。
ある日、もうどうしようもない、死のう、と天井から紐をぶら下げたのさ。
正に紐に首を通した時だったよ。
猫が窓から部屋に入って来て、俺の足元にまとわりついて、
「ニャーニャー」
と鳴き声を上げたんだ。
ビックリしてね。こいつの鳴き声なんて、掠れた小さな声しか聞いたことがなかったから。
※
うちの猫は、俺の命の恩人だ。
今でも18年以上、長生きしてくれている最高の猫だ。
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