彼女に宛てた手紙

公開日: ちょっと切ない話 | 恋愛

手を繋ぐカップル(フリー写真)

ゆいへ

なあ、俺もうダメみてぇだ。

何でだ? お前に出会うまでは死にたいぐらい毎日が退屈だった。

でも今は俺すげえ生きたい。

何で病気に勝てねえんだろ?

俺いつからこんな弱くなった?

毎日死に近付いてるって感じる。

もっと生きてえよ。

寂しがり屋なお前の事を置いて死ねねえしな?

ずっと傍に居てやらねえとお前はだめだろ?

泣き虫なくせに俺が病気で苦しんでるからって、俺の前では笑ってたよな?

お前、辛かっただろ?

なのに俺はお前に弱いとこばっか見せてたな。

俺が死んだら誰がお前の涙を拭く?

俺な…何度も何度も神様にお願いした。

「もっと生きたい」って…。

でも無理みてえだ。

ごめんな…。

約束守れなくて…。

結婚しよって言ったのにな。

俺はもうすぐ居なくなるから結婚できねえ。

俺はお前の事を幸せにできねえし、この先一緒に居る事もできねえから。お前には世界一幸せになって欲しいから…。

結婚っていう形でお前の人生を縛りたくない。

お前の事をほんまに大事にしてくれる人と幸せになってほしい。

俺な、20年間生きて来て、愛してるって心からそう思った女を幸せにできない事がマジで辛いし悔しい。

だけどお前が幸せになれない事の方が辛いから…。

だからお前は前に進むんだぞ?

俺の死をちゃんと受け止めるんだぞ?

ゆいの事、マジで大好きだ。

最後に一つお願いがある…。

心の奥のどっかでいいから、俺の事、覚えといてください。

雅人っていう男の事をどうか覚えててください。

じゃあまたな!

さよならは言わねえから。

彼は私の事を本当に愛してくれました。

私も彼を本当に愛してました。

今も彼を愛してます。

もう会えないけど彼は私の心の中で、永遠に生き続けます。

関連記事

犬

隅っこの守護者

家で可愛がっていた犬が亡くなって、もう何年経っただろう。当時はまだ子育て中で、二人の小さい子供たちと忙しい日々を送っていました。ある日、夫が「番犬にもなるし子供たちにもいい」と突然犬…

教室

思春期の揺れる心

中学1年生のころ、私の身近にはO君という特別な存在がいました。 私たちは深く心を通わせ、漫画やCDの貸し借りを楽しんだり、放課後や週末には図書館で学び合ったりしていました。 …

合格祈願の絵馬(フリー写真)

もう戻って来ない彼女

大好きだった彼女と別れた。 理由はシンプル。 俺が早稲田に落ちて浪人が決定したから。 「二人とも大学卒業したら結婚しようね」 こう言ってくれた彼女。 でも…

父の背中(フリー写真)

本当のお金の価値

私が中学校1年生の時の話である。 私は思春期や反抗期の真っ只中ということもあり、少しばかりやんちゃをしていた。 不法侵入をしたり、深夜まで遊んでいたこともあり、警察にはし…

カップル

あなたの笑顔と約束

あの日、バスで初めてあなたと会った時、突然の告白に困惑しながらも、その勇気に心打たれました。 初めてのデートは、あなたが寝坊して3時間も遅れてきたことに驚いたけれど、それでも待…

カップルの後ろ姿

届かぬ想い

関係を迫ると、「あなたは紳士じゃない」と言われた。 けれど、関係を迫らなければ、「あなたは男じゃない」と責められた。 何度も君の部屋を訪ねると、「もっと一人の時間が欲しい…

桜(フリー写真)

地元の友だち

話は遡ること3年前。 桜が開花し始めた頃、俺は自殺を考えていた。 大した理由ではないが、失恋、借金や勤めていた会社が倒産した事が重なり、全てに失望していた。 コミュニ…

公園のベンチ(フリー写真)

出会いの贈り物と感謝の気持ち

私の名前は佐々木真一、中学3年生です。 ある日のこと、私は学校から帰ると家の前に見知らぬ男性が立っていました。 その男性は私に向かって微笑みながら手を振り、名前を呼びまし…

ビーチを歩くカップル(フリー写真)

初恋と友情

親友に第一子が生まれたとメールが届いたので記念に投稿します。 親友の嫁が俺の初恋の相手。 親友も親友の嫁(以下Aとします)も俺も同じ小学校、同じクラスで、Aは小学3年生の時…

手を繋ぐカップル(フリー写真)

最初で最後のキス

私が小学生の頃、初めて人を好きになりました。 上級生だったのですが、誰にでも分け隔てなく優しい人で、誰もが彼を好いていました。 そんな彼がどういう訳か、地味な私を好きになっ…