丸坊主の誓い

公開日: 友情 | 心温まる話

教室

中学生の弟がある日、学校帰りに床屋で丸坊主にして帰ってきました。

失恋したのかと尋ねると、小学校からの女の子の友達が久しぶりに学校に戻ってくるからだと教えてくれました。その女の子は病気で長期間入院しており、治療の副作用で髪の毛を全て失っていたそうです。

弟は言いました。「彼女が丸坊主で恥ずかしいって言ってたから、自分も丸坊主になれば彼女が少しは楽になるかなと思ったんだ。野球部の子はもともと丸坊主だけど、野球部じゃない子も丸坊主がいる方がいいかなって。」

翌日、丸坊主で登校した弟は帰宅して驚いたことを報告しました。「同じことを考えた奴がたくさんいたんだ……」と彼は言いました。

なんと、彼のクラスの優等生から問題を起こす子まで、男子生徒全員が丸坊主かそれに近い髪型になっていました。さらに、病気の女の子と仲の良い女子たちもベリーショートにしており、その中の一人は完全に丸坊主になっていたそうです。驚くべきことに、男性の担任教師までもが丸坊主になっていたのです。

教室が丸坊主だらけになる中、病気の女の子は「ありがとう、ありがとう」と言いながら笑いながら泣いたそうです。その日、弟のクラスはまるで示し合わせたかのように一致団結し、その絆が彼らを強く結びつけました。

現在もその女の子は元気にしており、弟は丸坊主が意外と自分に合っていると気に入っているため、そのスタイルを続けています。この心温まる話は、思いやりと勇気がいかにして人々を近づけるかを教えてくれます。

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