父の願いと医者への道
高校一年生の夏休み、両親から「大事な話がある」と呼び出されたとき、父が癌で余命宣告されていることを知りました。
私たち家族は商売をしており、借金も多く、父が亡くなれば高校に通うことも不可能に思えました。
父は抗がん剤治療を始め、入退院を繰り返しながらも、働き続けていました。
「高校、大学は何とかしてやるから、しっかり勉強しろ」と父は言っていました。
しかし、目標もなく、高校中退が頭にちらつく私は、勉強に集中できませんでした。
高校二年生の冬、父に「将来、何かやりたいことはないのか?」と問われ、医者になることを決意しました。
高校3年の夏、父は亡くなりましたが、彼の努力のおかげで高校を卒業し、国立大学の医学部に合格することができました。
今、私は癌専門治療医として働いています。
「あいつは将来、俺の病気を治してくれるんだ」と父が母に言っていたそうです。
まだ父の癌を治せる力はありませんが、日夜努力しています。
いつか父の癌を治せるようになるために。