触れる魔法

公開日: 仕事 | 心温まる話

メリーゴーランド

私たちの前を、目の見えない夫婦が手を取り合って歩いていました。

彼らはそれぞれ白杖を携えており、ディズニーランドのキャストが優しく案内しながら、彼らと並んで歩いていました。

そして、夢のひと時が訪れます。ミッキーマウスに会うための特別な部屋に一歩足を踏み入れたとき、彼らの番が来ました。

キャストは温かい声で彼らに告げました。

「こちらがミッキーの耳ですよ〜!」

ミッキー自身が穏やかに彼らの手を取り、自分の大きな耳へと導きました。

夫婦は手で優しくミッキーの耳の形を確かめ、幸せそうに頷いていました。

でもミッキーの思いやりはそれだけではありませんでした。

彼は彼らの手を自らの鼻へと移し、夫婦の笑顔をさらに輝かせました。

そして、何度も彼らを抱きしめ、愛情を込めたキスをしました。

夫婦が部屋を後にする時まで、ミッキーは彼らを温かく見送りました。

私は、この心温まる光景を目の当たりにして、感動のあまり涙がこぼれ落ちました。

私が涙を流していると、ミッキーが静かに近づき、慈しみのこもった手で私の頭を撫でてくれました。

この小さな仕草が、言葉にはできないほどの愛と優しさを伝えていました。

関連記事

教室(フリー写真)

先生がくれた宝物

私がその先生に出会ったのは中学一年生の夏でした。 先生は塾の英語の担当教師でした。 とても元気で、毎回楽しい授業をしてくれました。 そんな先生の事が私はとても大好き…

ローカル電車(フリー写真)

特別な千円札

学生時代、貧乏旅行をした。 帰途、寝台列車の切符を買ったら残金が80円! もう丸一日、何も食べていない。 家に着くのは約36時間後…。 空腹をどうやり過ごすか考…

プリン・ア・ラ・モード(フリー写真)

誕生日会と親友

僕が小学4年生の時、10歳の誕生日会を開くことになった。 土曜日に仲の良い友達みんなに声を掛けた。 「明日来てくれる?」 みんなは、 「うん!絶対行くよ!」 …

犬

少年とテツ

1月の寒い朝、思い出す少年がいます。 当時、私は狭心症で休職し、九州の実家で静養していました。 毎朝、愛犬テツとの散歩中、いつも遅刻ギリギリの不良少年に出会いました。 …

カップル(フリー写真)

人の大切さ

私は生まれつき体が弱く、よく学校で倒れたりしていました。 おまけに骨も脆く、骨折6回、靭帯2回の、体に関して何も良いところがありません。 中学三年生の女子です。 重…

兄弟(フリー写真)

最強最高の兄ちゃん

両親は俺が中学2年生の時、交通事故で死んだ。 俺には4つ上の兄と、5つ下の妹が居る。 両親の死後、俺は母方の親戚に、妹は父方に引き取られて、兄は母方の祖父母と住んでいた。 …

日記帳(フリー写真)

天国の恩人

私はキャバクラ嬢でした。 家がとても貧乏で、夜に働きながら大学へ行きました。 そんな私の初めてのお客様。 Yさん、70歳のお爺ちゃんです。 彼はとても口下手で、…

町並み

町の片隅に住む五人家族

それは、お父さん、お母さん、そして小学生の三姉妹から成る仲良しの一家だった。 しかし、時は残酷にもその家族の中心であるお母さんを奪ってしまう。 ある日の帰宅途中、悲しい交…

夫婦の手(フリー写真)

私は幸せでした

文才が無いため酷い文になると思いますが、少し私の話に付き合ってください。 24歳の時、私は人生のどん底に居ました。 6年間も付き合って婚約までした彼には、私の高校時代の友人…

美しい人生(フリー写真)

お帰りなさい

マニュエル・ガルシアは元気で頼もしく、近所でも働き者と評判の父親だった。 妻に、子供に、仕事に、将来、全て計画通りに運んでいた。 ある日、マニュエル・ガルシアは腹の痛みを訴…