駄菓子屋に集結したヒーロー

公開日: 心温まる話

駄菓子屋(フリー写真)

近所に古い駄菓子屋がある。

経営しているのは、お婆ちゃん一人だけ(お爺ちゃんは5年程前に病気で亡くなってしまった)。

いつもニコニコしていて、とても優しいお婆ちゃんで、お金が無い子にはこっそり駄菓子をあげていた(俺も昔もらった)。

そんな感じで近所の評判もとても良かった。

ある日、お婆ちゃんがヤクザに罵声を浴びせられていた。

何でも亡くなったお爺ちゃんに少し借金があったらしい。

それをこつこつ払い続けて完済したはずなのに、更に80万円請求され、払わなかったら立ち退いてもらうと脅されたらしい。

お婆ちゃんのピンチに周りが黙っていられるはずもなく、三丁目の人々が一致団結。

集会を開くまでに至り、ヤクザが来た時に駄菓子屋の前に整列。そして猛抗議。

俺は学生だったので様子を見守っていたのだが、あれは圧巻だった。30人以上の大人が声を張り上げているんだもの。

ヤクザも初めは何か言っていたが、すぐに戦意喪失。スゴスゴと引き上げて行った。

お婆ちゃんは泣きながら、ありがとう、ありがとうとずっと言っていた。

そんなお婆ちゃんは今日もお店でニコニコしている。長生きしてもらいたい。

関連記事

受験(フリー写真)

おばあちゃんの愛情

俺の家庭は自分と母親、それとおばあちゃんの三人で暮らしている。 親父は離婚していない。パチンコなどのギャンブルで借金を作る駄目な親父だった。 母子家庭はやはり経済的に苦し…

ラムネ(フリー写真)

笑顔でいるんだ

俺が小学生の頃、家のすぐ近くにお好み焼屋があったんだ。 その店はお婆さんが一人でやっているお店で、細々と続いていた。 俺はその頃いじめられててさ、でも家に帰っても家族には何…

トイレ(フリー写真)

ドア裏の落書き

以前、大きな病院に通院していました。 ある日、男子トイレの洋式の方に入って座ると、ドア裏に小さな落書きがあったのです。 『入院して二ヶ月 治らない もうだめだ』 ※ そ…

太陽(フリー写真)

一身独立

私が小さな建築関係のメーカーの担当営業をしていた頃の話です。 私の担当区域には、小さな個人商店がありました。 先代の社長を亡くし、若くして社長になった社長には二人の男の子が…

椅子(フリー写真)

脳内共同ガールフレンド

大戦中にドイツ軍の捕虜収容所に居たフランス兵たちのグループが、長引く捕虜生活の苛立ちから来る仲間内の喧嘩や悲嘆を紛らわすために、皆で脳内共同ガールフレンドなるものを作った話を思い出した…

駅のホーム

旅で得た千円札

学生時代、ほとんどお金を持たずに貧乏旅行に出た私。帰りの寝台列車の切符を買ったら、残金はわずか80円になってしまった。食事をしていないのは丸一日、家に着くまではまだ36時間以上ある。…

丸まるキジトラ猫(フリー写真)

猫のたま

病弱な母がとても猫好きで、母が寝ているベッドの足元にはいつも猫が丸まっていた。 小さな頃は、母の側で寝られる猫が羨ましくて、私も猫を押し退けては母の足元で丸まっていた。 『…

夫婦(フリー写真)

奥さんの日記

嫁の日記を盗み読みしたら、いつも昼飯は納豆ご飯やお茶漬けしか食べていないことが判った。 友達とファミレスに行くのも月に一度と決めているらしい。 俺に美味しい料理を食べさせた…

オムライス(フリー写真)

本当の友達

二十年ほど前の話。 当時、俺の家は片親で凄く貧乏だった。 子供三人を養うために、母ちゃんは夜も寝ないで働いていた。 それでもどん底の生活だった…。 俺は中学を卒…

コーヒー

父の献身

私の両親は小さな喫茶店を営んでいて、私はその一人娘です。父は中卒ですが、非常に真面目な人でした。 バブルが弾け景気が悪化すると、父は仕事の合間にお店を母に任せ、バイトを始めまし…