相手を思い遣る心

公開日: 仕事 | 心温まる話

フライト(フリー写真)

国内線のCAとして、多い時で一日に 2,000人以上のお客様と接してきた私は、

『人の思いや気持ち(内面)は、日常の行動(外面)に現れる』

ことを学びました。

12年間のフライト生活を振り返った時、沢山の方の笑顔が今も心に残っています。

中には『もう一度お会いしたい』と思う、素敵なお客様もいらっしゃいます。

例えば、歌手の松田聖子さん。

私が松田聖子さんに惹かれたのは、彼女の振る舞いにCAに対する気遣いが感じられたからです。

その一つが、お礼の仕方でした。

私がお茶をお出しした際、彼女は隣の席の方とお話をしていました。

それにも関わらず、可能な限り上体を私の方に向け、私としっかり目を合わせ、笑顔で

「ありがとうございます」

とお礼をしてくださいました。

それも一度ではありません。

フライト中、何度も同じようにお辞儀をしてくださいました。

そして、何と飛行機を降りる時にも、

「おいしいお茶をありがとうございました」

とお礼を述べてくださったのです。

松田聖子さんの振る舞いに、本当に一瞬で心を掴まれたのを覚えています。

私は松田聖子さんが『有名人だから』という理由で『もう一度会いたい』と思った訳ではありません。

彼女が多くのファンに慕われているのは、

『相手がどう思うか』『何をすれば相手が喜んでくれるのか』を察する『相手を気遣う心』があり、

それを言葉と行動に込める習慣を持っているからなのです。

そのような方は、ほぼ100%に近い確率で誰からも好かれます。

ですが、その気遣いの習慣を持っている人は、僅かに『1%』でしょう。

そして、やろうと思えば誰でも実行できる、たった『1%』の習慣です。

お茶をいただいたら『ありがとう』を言うのは、誰にでもできることかもしれません。

ですが、レストランで見ていても、スタッフにお礼を言う人はとても少ないです。

相手としっかり向き合い、

誰にでもできる簡単なことだけれども『1%の人しかやっていないこと』を習慣にしている方は、

ほぼ100%に近い確率で、周りの心を温かくするのです。

出典元: 100%好かれる1%の習慣 松澤萬紀

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