せめて届かないだろうか

公開日: ちょっと切ない話 | 友情

田舎の風景(フリー写真)

葬式、行けなくてゴメン。

マジでゴメン。

行かなかったことに言い訳できないけどさ、せめてものお詫びに、お前んちの裏の山に登って来たんだ。

工事用の岩の間に作った基地さ、まだあったぜ。

置いてたエ○本はパリパリになってたけどな。

あの頃はこんな青年誌でもエ○本だと思ってたんだな。ガキだわ。

んで、そのエ○本の奥にあった手紙の山。

『なんだ?』って思ったら、ラブレターだった。

そういやぁ二人して書いてたな。二人とも同じ人宛てにさ。

んでさ、まあ殆ど読めなかったけどさ、ある一行が俺の目に飛び込んで来たよ。

『もし、俺がダメだったらシューチと付き合ってよ。あいつすんげぇいい奴だから』

…バカじゃねぇの? お前。

何だよ。忘れてたよ。お前がこんなヤツだって事。

すんげぇいいヤツだって事。

離ればなれになっちまってから、ホント忘れてたよ。

そんで、俺がどれだけクソな人間か思い知らされたよ。

もうお前は帰って来ない。

今更、俺が何を言っても届かない。

死んだ時は分からなかった死の実感。

だけど…せめて届かないだろうか。

お前だって見てたんだろ? この板。

本当に、ゴメン。ゴメンなさい。

あとさ、久しぶりにチアキに連絡した。

あいつ…お前が死んだこと知らなかったよ。

一緒に謝りに行くから。お前の墓に。

夫婦の手(フリー写真)

空席に座る子

旦那の上司の話です。亡くなったお子さんの話だそうです。 主人の上司のA課長は、病気で子供を失いました。 当時5歳。幼稚園で言えば、年中さんですね。 原因は判りません…

教室(フリー写真)

大切な幼馴染

私には、大好きな男の子がいた。 その子は幼馴染で、小さな頃からずっと一緒だった。 私はいつも支えてくれた彼が大好きだった。 でも、彼は自ら命を絶った。 首を吊…

運動会(フリー写真)

素敵なお弁当

小学校高学年の時、優等生だった。 勉強もスポーツもできたし、児童会とか何かの代表はいつも役が回って来た。 確かに、良く言えば利発な子供だったと思う。 もう一人のできる…

猫(フリー写真)

愛猫との別れ

私がまだ高校生の冬、家で飼っている猫が赤ちゃんを産みました。しかも電気毛布を敷いた私の布団で。 五匹も産んだのですが、次々と飼い主が決まり、とうとう一匹だけになりました。 …

夫婦の重ねる手(フリー写真)

妻からの初メール

不倫していた。 4年間も妻を裏切り続けていた。 ネットで出会った彼女。 最初は軽い気持ちで逢い、次第にお互いの身体に溺れて行った。 ずる賢く立ち回ったこともあり…

お弁当(フリー写真)

母ちゃんの弁当

中学1年生くらいの時は反抗期で、ちょっとツッパっていたりした。 「親の作った弁当なんかダサくて食えるか。金よこせよ、コンビニで買うから!」 と母ちゃんに言ったことがあってさ…

パソコン(フリー写真)

母からのメール

私が中学3年生になって間もなく、母が肺がんであるという診断を受けたことを聞きました。 当時の自分は受験や部活のことで頭が一杯で、生活は大丈夫なのだろうか、お金は大丈夫なのだろう…

日記帳(フリー写真)

彼の遺した日記

2年間、付き合っていた彼に振られました。 それはもう、最後は彼が言ったとは思えないほどの酷い言葉で。 どんなにまだ好きだと言っても復縁は叶わず、音信不通になってしまいました…

家族の手(フリー写真)

いつかの日曜日

私が4歳の時、父と母は離婚した。 当時は祖父母と同居していたため、父が私を引き取った。 母は出て行く日に私を実家へ連れて行った。 家具や荷物が沢山置いてあって、叔母の…

タクシー(フリー写真)

台風の日

タクシーの中でお客さんとどんな話をするか、平均で10分前後の短い時間で完結する話題と言えばやはり天気の話になります。 今日の福岡は台風11号の余波で、朝から断続的に激しい雨が降っ…