両親から受けた愛情

公開日: 家族 | 心温まる話 | |

白打掛(フリー写真)

先天性で障害のある足で生まれた私。

まだ一才を過ぎたばかりの私が、治療で下半身全部がギプスに。

その晩、痛くて外したがり、火の点いたように泣いたらしい。

泣き疲れてやっと眠った私に、母と一緒になって寝かしつけてくれた強がりの父が、

「不憫だ、俺のせいだ!変わってやりてえ!!」

と男泣きに泣いたんだよ…。

そう母から後年聞いた。

今、どんなに隠しても痛みがあると言い当てられてしまう。

心配かけたくなくてわざと元気に歩いても、ニコニコ笑っていても、音で分かるのだそうだ。

そして私の結婚式の白打掛の衣装選びの日。

新しい真っ白なのと、少し古くて黄ばんで見えるのしかなくて、でも差額は格段に違う。

当時は今のようなシンプルな披露宴ではなく、いわゆる派手婚の時代。

恥ずかしいけど親にいくらか援助してもらわないといけなかった。

ただでさえかかるお金に、私が安い方の白無垢にしようと悩んでいると母が話したら、

「あいつ(私)には真っ白い新しいの着せてやれ。苦労したんだから」

と言ってくれたらしい。

苦労したのは両親。

この足のことで、沢山心配かけたから。

お陰で自分のハンデについて誰を恨むことなく(恨んでいたら辛い人生だったと思います)大人になり、子供も二人授かりました。

父にも母にも感謝しきれないエピソードはあるけど、ドラマの『とんび』を見ていると、安さんに似た不器用だけど子煩悩な父から受けた愛情に、滂沱の涙が出るのです。

関連記事

家族の影(フリー写真)

家族で笑った思い出

数年前に、実家の一家の大黒柱である父が倒れた。 脳梗塞で、一命は取り留めたものの麻痺が残ってしまった。 母は親戚(成年後見人)に上手いことを言われて離婚させられた。 …

学校のプール(フリー素材)

自分の足で歩きなさい

広島の女子高生のA子さんは、生まれた後の小児麻痺が原因で足が悪く、平らな所でもドタンバタンと大きな音を立てて歩きます。 この高校では毎年7月になると、プールの解禁日に併せてクラ…

母に渡す花(フリー写真)

お母さんの看病がしたいよ

19歳の頃、癌で入院中のお母さんに、泊り込みで付き添っていた。 その頃、私は予備校に行っていた。 お母さんが 「看護婦さんになって欲しい」 と言ったから、一つく…

手繋ぎ

重なる運命のメッセージ

彼と彼女は、いつものツタヤの駐車場で待ち合わせをしました。お互いに重要な話があり、緊張しながら集まった二人は、メールで心の内を伝え合うことにしました。 彼は重い告白をしました。…

ケーキ

小さな勇気が呼んだ奇跡

俺がケーキ屋で支払いをしている時だった。 自動ドアが開き、まだ幼稚園児くらいの女の子が一人で入ってきた。 場違いなほど小さなその姿に、店内の空気が少し張りつめた。 …

桜(フリー写真)

娘を思う父の心

この前、娘が大学受けたんですよ、初めてね。 で、生まれて初めて娘の合格発表を迎えた訳ですわ。正直、最初は合格発表を見に行った娘の電話を待つのなんて簡単だと思ってたのよ。みんな普通…

一番近くにいた優しさ

一番近くにいた優しさ

私は昔から、何事にも無関心で、無愛想な性格でした。 友達は、片手で数えるほどしかいませんでした。 恋愛に至っては、生まれてこのかた、たったの二回。 ※ でも、…

駅のホームに座る女性(フリー写真)

貴女には明日があるのよ

彼女には親が居なかった。 物心ついた時には施設に居た。 親が生きているのか死んでいるのかも分からない。 グレたりもせず、普通に育って普通に生きていた。 彼女には…

ダイビング(フリー写真)

海中の恋

一年前から行きたかったダイビング体験ツアーに行くことになった。 本当は彼女と行きたかったのだが、春が来る前に別れてしまった。 だから仕方なく、男三人で南国へ向かった。 ※…

教室(フリー写真)

女の子を庇うため

中学一年の時のこと。 授業中に隣の席の女の子がおしっこを漏らしていました。 女の子の席は一番後ろの端だったので、他には誰も気が付いていない様子。 僕はおもむろに席を立…