お母さんへ

公開日: ちょっと切ない話 | 家族 |

母(フリー写真)

お母さん

台所に立つとあなたが横に立って居る気がします。

お母さん

洗濯物を畳んでいると、ずぼらな私に

「ほらもっとキレイに畳まないと」

と言うあなたの声が聞こえる気がします。

お母さん

泣いていると、

「ほら、おいで」

と撫でてくれる気がします。

もう二児の母だと言うのに、あなたが死んだ事をどこか受け入れられません。

お葬式で長男が、

「早く起きないかなぁ」

なんて言うから、弔問者に挨拶しなければいけないのに涙が止まらなくなりました。

あなたと殆ど会話なんて無かったお父さんは、お礼の挨拶で言葉を詰まらせ、書いてある文字を読むことも出来ず、必死で言葉に出来たのは

「ありがとうございました」

だけでした。

お母さん

さよならするなら、もっと覚悟をしたかった。

「具合が悪い」

と言い、入院してたった8日で逝かれたらどうしようもありません。

まだ下の子は、生まれて二ヶ月ですよ。

もっともっと抱っこしたかったでしょう。

私はお母さんみたいな母親になりたい。

なれますか?

優しい優しいお母さんになりたい、強いお母さんになりたい、笑顔が素敵なお母さんになりたい。

お母さん、会いたいよ。

「本当にいつまで経っても子供ね」

と笑わないでね

大好きです。

関連記事

女の子の後ろ姿

再生の誓い

私が結婚したのは、20歳の若さでした。新妻は僕より一つ年上で、21歳。学生同士の、あふれる希望を抱えた結婚でした。 私たちは、質素ながらも幸せに満ちた日々を過ごしていましたが、…

ブリキのおもちゃ(フリー写真)

欲しかったオモチャ

俺がまだ小学生だった頃。 どうしても欲しかったオモチャを万引きしたら見つかって、それはもう親にビンタされるは怒鳴られるはで大変だった。 それから暫らくして俺の誕生日が来た…

赤ちゃんの手

二人三脚の約束

私たちが夢見た奇跡は、結婚して5年目のある日、現実となった。待ちわびた命が、ついに私たちの世界にやって来た。 しかし、幸せの中で隠されていた試練が、子供が2歳になった頃に明らか…

レストラン

震災後のファミレスにて

阪神大震災後のことです。当時、私はあるファミレスで働いており、震災後にはバイキングメニューを無料で提供することになりました。 開店と同時に店内は満席になり、外には長い行列ができ…

白猫(フリー写真)

白猫のミーコ

私が生まれる前から、私の家にはミーコという猫が居た。 白くて、ふわふわで、温かかった。 私はミーコが大好きだった。 ミーコもそんな私に懐いてくれた。 ※ 父が入院…

リビング

弟の物語が変えた家族

私の家族は、父、母、私、そして弟の四人家族です。弟は私より十二歳も年下で、その当時はまだ六歳でした。とても可愛い弟です。しかし、私は遊び盛りで、家にいれば父と母が喧嘩をしていることが…

ダイヤの結婚指輪(フリー写真)

年下の彼氏

年下の彼氏が居た。当時の私は30歳で、彼は22歳だった。 大学生だった彼は、社会人の私に頭が上がらなかったらしく、付き合い始めて3年経っていたが将来の話なんて一つもしなかった。 …

学校のプール(フリー素材)

自分の足で歩きなさい

広島の女子高生のA子さんは、生まれた後の小児麻痺が原因で足が悪く、平らな所でもドタンバタンと大きな音を立てて歩きます。 この高校では毎年7月になると、プールの解禁日に併せてクラ…

結婚式(フリー写真)

二人目の子供

俺が結婚したのは20歳の頃だった。当時、妻は21歳。学生結婚だった。 二年ほど貧乏しながら幸せに暮らしていたのだが、ある時、妊娠が発覚。 俺は飛び上がるくらい嬉しく、一人で…

カーネーション(フリー写真)

本当のお母さん

俺が6歳の頃、親父が再婚して義母がやって来た。 ある日、親父が 「今日からこの人がお前のお母さんだ」 と言って連れて来たのだ。 新しい母親は、俺を本当の子供のよ…