無償の愛
おじいちゃんは老いから手足が不自由で、トイレも一人で行くのは厳しい。
だから、いつもはおばあちゃんが下の世話をしていた。
おばあちゃん以外が下の世話をするのを嫌がったからだ。
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ある日、家に私とおじいちゃんの二人きりになった。
おばあちゃんが倒れてしまい、母と兄は病院、父は会社から病院へ直行したからだ。
おじいちゃんと留守番をしていると、申し訳なさそうに
「ももちゃん、悪いんだがトイレに…」
と言った。
私は本当に馬鹿だなって思った。
一人じゃ行けないのを知っていた癖に、気が付いてあげられないなんて。
孫、それも女の私には言い辛かっただろうなって。
トイレに行くとパンパースが小と大で汚れていた。
沢山、我慢させてしまった。
私はおじいちゃんの気を逸らそうと、学校であった笑い話を精一杯明るく話した。
お風呂場で体を洗い、パンパースを付けてホッとした。
同時におばあちゃんは毎日これをしているんだと思うと、何とも言えない気持ちになった。
※
お世話を終えると、おじいちゃんが
「悪かったね、ありがとう」
と五千円をくれようとした。
おじいちゃんは本当に馬鹿だなって思った。
私が赤ちゃんの時、両親は共働きでした。
おしめを変えて育ててくれたのは貴方じゃないですか。
幼稚園だって塾の送り迎えだってしてくれたのは貴方じゃないですか。
あれは無償の愛でしょ?
私はおじいちゃんが大好きだよ?
だからお金なんかいらないんだよって言った。
二人してちょっと泣いた。
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その日からは介護の人を頼んだり、おじいちゃんが家族にも頼ってくれたりで、おばあちゃんの負担も減った。