恐かった父

公開日: ちょっと切ない話 | 家族 |

ビール(フリー写真)

私の父は無口で頑固で本当に恐くて、親戚中が一目置いている人でした。

家に行ってもいつもお酒を飲んでいて、その横で母が忙しなく動いていた記憶があります。

私が結婚する事になり、ドキドキしながら主人を連れて行った時も、ずっと黙ったままでした。

やっと口を開いたと思えば、

「ビールは何を飲むんや?」

というぶっきら棒な一言。

その日は何とか無事に終わり、式の当日は終始酒を注ぎに回っていました。

その後、私は子供が生まれて少し育児ノイローゼ気味になっていました。

それを見た父が何故か毎日、孫の世話をしに来るようになりました。

父は当然子供の面倒など見た事が無いので、する事が滅茶苦茶。

苛々していた私は、嫌味ばかり言ってしまいました。

そして2ヶ月後、あまり調子が良くないと言っていた矢先、他界しました。

何でもっと優しくしてあげなかったんだろう?

紙オムツの仕方を聞かれて、

「それぐらい解るでしょ」

なんて、どうして冷たく言っちゃったんだろう?

あの日、自分でどうにかしようと思ったらしく、変な形になったオムツが残されていました…。

その後、父が毎日付けていた日記が見つかりました。

式の当日のページを開くと、

「あのバカ娘がとうとう嫁に行った。最後の挨拶では涙が出た。幸せになれ」

と書いてありました。

おまけに家には、主人があの日答えた『アサヒビール』が、押入れ一杯に詰められていました。

猫の親子(フリー写真)

親猫

家の裏に同じ猫が、よく通っていた。 痩せていたので、残飯を少し置いてあげた。 私自身、あまり動物が好きではない。 以前は子供のためにウサギを家で飼ったが、そのせいで…

手紙(フリー写真)

天国の妻からの手紙

嫁が激しい闘病生活の末、若くして亡くなった。 その5年後、こんな手紙が届いた。 どうやら死期が迫った頃、未来の俺に向けて書いたものみたいだ。 ※ Dear 未来の○○ …

手を繋ぐ夫婦(フリー写真)

最愛の妻が遺したもの

先日、小学5年生の娘が何か書いているのを見つけた。 それは妻への手紙だったよ。 「ちょっと貸して」 と言って内容を見た。 まだまだ汚い字だったけど、妻への想いが…

夫婦の手(フリー写真)

空席に座る子

旦那の上司の話です。亡くなったお子さんの話だそうです。 主人の上司のA課長は、病気で子供を失いました。 当時5歳。幼稚園で言えば、年中さんですね。 原因は判りません…

彼女(フリー写真)

忘れられない暗証番号

元号が昭和から平成に変わろうとしていた頃の話です。 当時、私は二十代半ば。彼女も同じ年でした。 いよいよ付き合おうかという時期に、彼女から私に泣きながらの電話…。 「…

父と娘(フリー写真)

娘の望み

彼は今日も仕事で疲れ切って、夜遅くに帰宅した。 すると、彼の5歳になる娘がドアの所で待っていたのである。 彼は驚いて言った。 父「まだ起きていたのか。もう遅いから早く…

浅草の三社祭の提灯(フリー写真)

母のガイドブック

東京で単身赴任をしていた時、連休になるといつも嫁が来て、家事などをしてくれていた。 母にも、偶には東京に来いよと言っていたのだけど、人混みが苦手だと言い、決して来なかった。 …

手のひら(フリー写真)

出会い

昔、美術館でバイトをしていた。 その日の仕事は、地元の公募展の受け付け作業。 一緒に審査員の先生も一人同席してくれる。 その時に同席してくれたのは、優しいおじいちゃん…

花(フリー写真)

母が見せた涙

うちは親父が仕事の続かない人で、いつも貧乏だった。 母さんは俺と兄貴のために、いつも働いていた。ヤクルトの配達や、近所の工場とか…。 土日もゆっくり休んでいたという記憶は無…

花火(フリー写真)

花火とプロポーズ

2012年の夏。 付き合って2年になる彼女がいた。 彼女とは中学の同級生で、成人してから付き合い始めた。 同窓会で2年振りの再会。 お互いにどんな性格なのか、趣…