母ちゃんの記憶

公開日: ちょっと切ない話 | 家族 |

ブランコ(フリー写真)

母ちゃんは俺が4歳の時、病気で死んだんだ。

ぼんやりと憶えている事が一つ。

俺はいつも公園で遊んでいたのだが、夕方になるとみんなの母ちゃんが迎えに来るんだ。

うちの母ちゃんは入院生活が長くて、どうせ帰っても親父は仕事だし、家には誰も居ない。

だから暗くなってもよく公園に居たな。部活帰りの兄貴が公園の前を通るので、一緒に帰るのが日課だった。

その日も、暗くなってから砂場で遊んでいた。

そしたら俺を呼ぶ声が聞こえて、母ちゃんが息切れしながら歩いて来た。

「ママーママー」

と馬鹿みたいに叫んで走ったよ。

辺りは暗くなっていたが、母ちゃんは

「ブランコに一緒に乗ろう」

と言い、俺を膝に乗せて暫くそうしてくれていた。

その後、何日かして病院で死んじまった。

後から親父に聞いたら、自分でも長くない事が解っていたらしい。

あの時、母ちゃんはどんな気持ちを抱えていたんだ?

「どうしていつも病院に居るの?」

なんて、しつこく聞いてごめん。

辛かっただろう。

来年、彼女と結婚するよ。

母ちゃんの分も、向こうのお袋さんを大事にすっから。

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