またどこかで会おうね
俺は以前、病院勤務をしていた。と言っても看護婦や医者などの有資格者じゃないんだけどね。 それでさ、掃除しようと思ってある病室に入ったんだよ。 よく知らずに入った…
胸が締め付けられるような、あの感覚。泣けるほど悲しいわけではないのに、なぜか心のどこかに引っかかって残る話があります。後悔、別れ、言えなかった言葉。切なさの中にこそ、人が生きる美しさがある——そんな短編をまとめました。
俺は以前、病院勤務をしていた。と言っても看護婦や医者などの有資格者じゃないんだけどね。 それでさ、掃除しようと思ってある病室に入ったんだよ。 よく知らずに入った…
私の前の上司(課長)は無口、無表情。雑談には加わらず、お酒も飲まず、人付き合いをしない堅物でした。 誠実公平、どんな時でも冷静なので頼もしい上司なのですが、堅過…
僕は良いところなど一つも無いと言って良い程、嫌な人間だった。 ルックスに自信は無く、頭も良くはない。そして、人に平気で嘘を吐く卑怯者。 僕に構う人など誰も居なか…
朝、私は妻がよそった味噌汁を腕で払い、底の焦げた鍋を床に落とした。弁当も持たずに家を出た。夜、二階の窓に明かりがあり、玉ねぎとバターの匂いがした。妻がその鍋で四…
じいちゃんが亡くなってから、泊まりに通う祖母の家でもらうポチ袋の宛名は「祖母」一人になった。仏壇の引き出しに残っていた「祖父」の二文字で止まった書き損じの袋と、…
沼津の幼稚園のバスで隣に座っていた美咲と、私は二十歳から一緒に暮らした。プロポーズのために、眠る美咲の薬指に白い糸を回して指輪のサイズを測った九月の夜。前々日に…
小学校高学年の時、優等生だった。 勉強もスポーツもできたし、児童会とか何かの代表はいつも役が回って来た。 確かに、良く言えば利発な子供だったと思う。 もう一人の…
伊万里の坂の下で毎朝遅刻していた中学生は、私の部屋に来るたび畳の毛を手のひらで集めて帰りました。一年後に学園から戻ってきたその子の鞄から出てきた白い封筒が、その…
山形・庄内の羽黒門前町で絵馬の板を仕上げていた祖母は、代金の入っていない小絵馬の裏にだけ墨で点をひとつ打ち、焼かずに残していました。掛け所の四十一枚と、九つの冬…
俺たち小学校から高校までずっと一緒だったよな。 高卒後、俺は就職、お前はフリーター。 学歴社会の昨今、 「俺たちゃ負け組じゃねぇよな!がんばろうぜ!」 と、よく…
僕は小さい頃に両親に捨てられ、色々な所を転々として生きてきました。 小さい頃には「施設の子」とか「いつも同じ服を着た乞食」などと言われました。 偶に同級生の子と…
俺が小学3年生の夏休みの話。 今の今までマジで忘れていた。 小学校の夏休みとか、遊びまくった覚えしかない。 俺は近所の男子と夏休み中、開放されていた学校の校庭で…
金持ちで顔もまあまあ。 何より明るくて突っ込みが上手く、ボケた方が 「俺、笑いの才能あるんじゃね」 と勘違いするほど(笑)。 彼の周りには常に笑いが絶えなかった…
レンタル屋の駐車場で、せーので同時に送信した二通のメール。俺のメールには、あと一年しか持たないという告白が、彼女のメールには、妊娠したという報告があった。同棲貯…
話は遡ること3年前。 桜が開花し始めた頃、俺は自殺を考えていた。 大した理由ではないが、失恋、借金や勤めていた会社が倒産した事が重なり、全てに失望していた。 コ…