初恋と友情

公開日: ちょっと切ない話 | 恋愛

ビーチを歩くカップル(フリー写真)

親友に第一子が生まれたとメールが届いたので記念に投稿します。

親友の嫁が俺の初恋の相手。

親友も親友の嫁(以下Aとします)も俺も同じ小学校、同じクラスで、Aは小学3年生の時に転入して来た。

そして小学5年生の冬に転校するまで、俺たちは殆ど毎日遊んでいた。

そこから音信不通のまま月日は流れ、一昨年にふとした切っ掛けでA(初恋の相手、親友の嫁)と再び連絡が取れるようになった。

それから何度かAと飲んだり遊んだりするようになったし、親友も交えてみんなでつるむようになった。

親友には当時付き合って4年になる彼女がいた。

その年の冬、親友は彼女と別れた。彼女に振られたらしい。

その時は散々振られ、酒に付き合わされた。

去年の春、親友からAが好きだと告げられた。

親友はもちろんAが俺の初恋の人だとは知らない。

俺は親友の幸せの為に、一生懸命親友とAが付き合うように色々と仕向けた。

Aと二人きりで親友について話し合ったこともあった。

その年の夏、Aと親友は付き合い始めた。

俺はとても嬉しかった。俺の親友と初恋の人が付き合う。

それは俺にとって何より嬉しかった。

大切な人が二人同時に笑顔になれる、最高の出来事だと思った。

その年の秋に二人は結婚した。出来ちゃった結婚などではなく普通の結婚だった。

披露宴に呼ばれた俺は、受付に友人代表スピーチにと大忙しだった。

スピーチの時は、嬉しくて感無量で涙が止まらなかった。

二人が結婚しても、俺たちの親友関係に変化はなかった。

何度も二人の新居に呼ばれて遊びに行った。

先日、親友から待望の第一子が生まれたと連絡があった。素直に嬉しかった。

親友とAから、子供の名前に俺の名前を一字使ったと言われた。素直に嬉しかった。

でも何故だろう、これを書きながら涙が止まらない。

嬉しいはずなのに、幸せな二人の笑顔を見るのが偶に物凄く切ない。

関連記事

卵焼き(フリー写真)

親父の弁当を捨てた

小学1年生の秋に、母親が男を作って家を出て行き、俺は親父の飯で育てられた。 当時は親父の下手な料理が嫌で堪らず、また母親が突然居なくなった寂しさも相まって、俺は飯の度に癇癪を起こ…

手を繋いで夕日を眺めるカップル(フリー写真)

ずっと並んで歩こうよ

交通事故に遭ってから左半身に少し麻痺が残り、日常生活に困るほどではないけれど、歩くとおかしいのがばれる。 付き合い始めの頃、それを気にして一歩下がるように歩いていた私に気付き、手…

父の手(フリー写真)

受け継がれた情熱

俺の親父は消防士だった。 いつ何があってもおかしくない仕事だから、よく母に 「俺に何かあっても、お前らが苦労しないようにはしてる」 と言っていたのを憶えている。 ※…

梅干し(フリー写真)

憧れた世界

飲んだくれの親父のせいで貧乏育ち。だから小さい頃は遠足の弁当が嫌いだった。 麦の混ざったご飯に梅干しと佃煮。 恥ずかしいから、 「見て~!俺オッサン弁当!父ちゃんが『…

田舎の風景(フリー写真)

せめて届かないだろうか

葬式、行けなくてゴメン。 マジでゴメン。 行かなかったことに言い訳できないけどさ、せめてものお詫びに、お前んちの裏の山に登って来たんだ。 工事用の岩の間に作った基地さ…

手(フリー写真)

無償の愛

おじいちゃんは老いから手足が不自由で、トイレも一人で行くのは厳しい。 だから、いつもはおばあちゃんが下の世話をしていた。 おばあちゃん以外が下の世話をするのを嫌がったからだ…

高校生(フリー写真)

ほら、笑いなよ!

高校2年生の夏、僕は恋をした。 好きで好きで堪らなかった。 その相手を好きになった切っ掛けは、僕がクラスで虐めに遭い落ち込んでいた頃、生きる意味すら分からなくなり教室で一人…

家族の手(フリー写真)

いつかの日曜日

私が4歳の時、父と母は離婚した。 当時は祖父母と同居していたため、父が私を引き取った。 母は出て行く日に私を実家へ連れて行った。 家具や荷物が沢山置いてあって、叔母の…

母猫(フリー写真)

母猫の選択

Rの実家は猫好きな一家で、野良猫に餌をあげているうちに、家中猫だらけになってしまったそうだ。 住み着いた猫が仔を作り、その仔もまた仔を作る。 一時は家庭崩壊しかけたほど猫が…

ビール(フリー写真)

恐かった父

私の父は無口で頑固で本当に恐くて、親戚中が一目置いている人でした。 家に行ってもいつもお酒を飲んでいて、その横で母が忙しなく動いていた記憶があります。 ※ 私が結婚する事にな…