父の古時計に残された、最後の音
調律師の私が父の遺品から見つけた古いレコーダー。そこに録られていたのは、幼い日の私のピアノと、父が一度も言葉にできなかった想いだった。…
調律師の私が父の遺品から見つけた古いレコーダー。そこに録られていたのは、幼い日の私のピアノと、父が一度も言葉にできなかった想いだった。…
妻を亡くした父が、お通夜の夜にひとり綴った一通の手紙です。残された高校生の娘が、亡き妻とそっくりの声で口にした六文字とは何だったのか。家族の合言葉が静かに受け継…
聞こえないはずの「愛してる」に、ろう者の妻はなぜ振り返ったのか。音のない家で、光と振動だけを頼りに子の誕生を待つ若い夫婦の、声を超えたひとことを静かに描いた泣け…
祖父が倒れた雪の夜の、家族の泣ける話です。僕は生まれて初めて、祖母の介護をしました。世話を終えたあとに差し出されたお礼のお金を、どうしても受け取れなかった理由と…
これは、港町の小さな定食屋で起きた、心あたたまる泣ける話です。卵が大嫌いだった男の子が、私の焼いただし巻き卵だけは笑顔で食べてくれました。料理を作る喜びと、誰か…
初めての給料で両親を食事に招いた、新米保育士の私。藍染職人の父は終始不機嫌で、二十年の苦労は晩飯一回で帳消しにはならないと言い放ちました。盃を支える青く染まった…
五歳の夏、海辺の小さな町で自転車屋を営む父が、ひとりで大切に育ててきた娘の七海が、何の前ぶれもなく逝きました。父が冬じゅうかけて組み直した赤い自転車、四百二十円…
お針子の母が我が子の成長を布へ刺繍し続けた、泣ける話の短編です。カメラの買えない貧しい母子家庭での出来事でした。恥じて引き裂いた夜、母が拾い集めて繕い直したいび…
北の海へ半年ごとに出る漁師の父をめぐる、泣ける話の短編です。父は暗い部屋で娘の寝顔をそっと覗いては、声を殺して泣いていました。忘れられるのが怖かったのだと、父は…
城下町の時計店に遺された子供の腕時計をめぐる、泣ける話の短編です。疎遠なまま独りで亡くなった父が、二十年以上も前に私が忘れた時計を、外しかけの歯車のまま直そうと…