黄ばんだ封筒
俺の母親は、俺が十二歳の時に死んだ。 ただの風邪で入院したはずだったのに。 一週間後には、もういなかった。 理由が分からないまま、世界だけが先に進んでいった。 …
続きを読む:黄ばんだ封筒俺の母親は、俺が十二歳の時に死んだ。 ただの風邪で入院したはずだったのに。 一週間後には、もういなかった。 理由が分からないまま、世界だけが先に進んでいった。 …
続きを読む:黄ばんだ封筒俺さ。 生まれた時から、ひどい小児喘息だったんだ。 ※ 夜中に苦しくなって、かーちゃんを起こして病院へ連れて行ってもらう。 そんなことが、しょっちゅうだった。 …
続きを読む:Saga 2のオープニングが流れるたび六歳の娘が突然旅立ち、初七日が過ぎた日曜、父は娘が指折り数えていた二本立ての映画へ一人で入った。ハム太郎の歌が流れたとき、客席の子どもたちが歌う声の中に、あの舌…
続きを読む:娘が歌ったハム太郎の歌俺は母親が嫌いだ。 大嫌いだ。 おせっかいなところが嫌いだ。 何よりも、子どもを一番に考えるところが嫌いだ。 大学に入って一人暮らしを始めて、もう二年も経つのに…
続きを読む:嫌いだと言い続けたその夜は、付き合って三年目の記念日でした。 彼は手料理を用意して、私の帰りを待っていてくれました。 ※ けれど私は、仕事が長引いてしまい、約束の時間に帰れません…
続きを読む:10分後の別れ私が23歳だった頃のことです。 就職して1年目の冬で、ちょうど誕生日の日でした。 ※ その日、職場の人たちが言ってくれました。 「誕生パーティーをしてあげる!」…
続きを読む:最後の誕生日JR大久保駅から通勤していた頃の話です。 当時、週に 2日だけ「 10時までに舞子に着けばいい」という勤務がありました。 朝はゆっくりできるし、電車も空いていて…
続きを読む:明石までのベンチと、三年生の約束うちは貧乏な母子家庭で、俺が生まれた頃、家にはカメラなんてなかった。 だから母さんは、その代わりに色鉛筆で俺の姿を描いて、アルバムみたいにしてくれていた。 絵は…
続きを読む:色鉛筆のアルバムと母の宝物あなたが天国に足早に旅立って、もう十二年になります。 あのとき二歳だった娘も、 生まれたばかりだった息子も、今ではすっかり中学生です。 泣き声ばかり聞かせていた…
続きを読む:先に行ったあなたへ届ける手紙60歳を過ぎて、癌だと告げられても、私は治療はしないつもりでいます。 5年前には一人娘も無事に結婚しましたし、親としての務めも、もうひと通りは果たせたと思ってい…
続きを読む:娘にだけは泣き顔を見せたくなかった私には、気が強くて、しっかり者のおばあちゃんがいた。 思春期に身長がぐんぐん伸びて、それを気にしていた私に向かって、 「あんた、でかいわねぇ」 と、悪びれもせず…
続きを読む:最後までしっかり者だったおばあちゃんへ見た目の怖さで避けられてばかりの二十四歳が、スーパーの新しい精算機の前で、手の震える男性に先に「ごめんねぇ」と言われた。拾ったのは数十円の小銭だけ。もらったセル…
続きを読む:セルフレジの飴玉をもらった日このエピソードは、私が人生の中で特に大切にしている物語のひとつです。 人間とは何か。 その問いに対するひとつの答えが、この物語には、静かに、しかし圧倒的な説得力…
続きを読む:母の香りをまとった先生私の命は、まもなく静かに尽きます。 不思議と、恐れはありません。 ただ、あなたが大丈夫かだけが心配です。 恋愛ドラマで私より先に泣いていたあなたを、置いていくこ…
続きを読む:泣き虫さんへ ― 私がいなくなったあとも女の子は一歳の頃から入退院を繰り返し、五歳の冬を迎えた。 治療の手立ては尽き、医師からは穏やかな最期を支えるターミナルケアに移ると告げられた。 「好きなものを、…
続きを読む:最後の小さな願い ― 一粒のぶどうラクリマを応援する
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