兄妹の絆
ファミリーレストランでの仕事中、私の隣のテーブルに親子が座った。
お母さんは若作りした茶髪で、中学生くらいの息子と小学生の妹を連れていた。
初めはただの普通の家族だと思ったのだが、その後の出来事に驚くこととなった。
母親は、子供たちに対して厳しく接していた。
「早く決めなさい!本当に遅いわね!」
妹がカレーを選ぶと、ただの好意で「カレーが好き」と言っただけなのに、
「うるさいわ!そんなこと誰も聞いてないでしょ!」と母親は怒鳴った。
兄はもう母親に対して無表情で、関わらずに食事を進めていた。
料理が運ばれてくると、母親の態度は変わらず、
妹の一言「いただきます」にさえ、
彼女は「黙って食べなさい」と言った。
妹はしおれた顔で、兄は無言で食事を続けた。
そんな中、母親の携帯が鳴り、
「ちょっとお母さん、電話してくるから」と言い残し、彼女は店を出て行った。
すると、今まで沈んでいた妹が顔を上げ、学校での楽しい話を始めた。
しかし、彼女が話を始めると母親は再び怒鳴った。
妹は驚き、僅かにカレーをこぼしてしまった。
「なんでちゃんと食べられないの!?」と母親は怒鳴った。
その時、ずっと無言でいた兄が声をかけた。
「そんなに急がなくてもいいよ」
妹が驚いて答えると、兄は「好きなものを、ゆっくり味わって食べな」と優しく言った。
そして、妹が学校で楽しかった話を始めると、兄は真剣に彼女を聞いて、時折微笑みを返していた。
母親の愛情は見られなかったが、兄と妹の絆が私にはしっかりと伝わった。