本当の友達
二十年ほど前の話。
当時、俺の家は片親で凄く貧乏だった。
子供三人を養うために、母ちゃんは夜も寝ないで働いていた。
それでもどん底の生活だった…。
俺は中学を卒業してすぐ働きに出た。
死ぬほど働いた。遊んでいる暇なんて無かった。
※
働き始めて一年ほど経った頃、久しぶりに同級生と会った。
そして飯を食いに行こうという話になり、店に入った。
メニューの漢字…読めなかった。
読めたのは、一つだけカタカナで書いてあった『オムライス』だけ。
同級生は、
「焼きそばとごはん」
と注文した。
無知な俺は、
「じゃあ俺はオムライスとごはん」
と店員に言った。
店員は固まっていた。
クスクスという笑い声も聞こえてきた。
そしたら同級生が、
「さっきのキャンセルね!!俺もオムライスとごはん!!」
と言った。
※
店を出た後、同級生が一言
「美味かったな」
と言った。
そして、
「仕事頑張れよ」
と言ってくれた。
泣けてきた。
心の底から人に『ありがとう』と思った。
そいつは今でも親友です。