両親への感謝

公開日: 仕事 | 家族 | 心温まる話 | |

教室

私が考える教育の究極の目的は「親に感謝し、親を大切にする」ことです。高校生たちは、しばしば自分たちが自力でここまで来たと錯覚しています。彼らがどれほど親に支えられて育てられたか、その事実を彼らが理解していないことが多いのです。

この大切な教訓を伝えるために、私は卒業式の日を選びました。式の後で、私は三年生全員とその保護者を視聴覚室に招き、教育者として最後の授業を行いました。

この特別な授業を始めるために、まず生徒たちを整列させ、保護者を生徒の席に座らせました。生徒たちは保護者の隣に正座しました。そして、私は全員に目を閉じるように指示しました。

「今までの人生で、お父さんやお母さんに多くの心配をかけたことを思い出してください。交通事故、親子喧嘩、学校生活…あなたたちがどれほど親に負担をかけてきたか、それを今一度思い返してみてください。」

話を続けるうちに、生徒たちの中からは涙を流す者が現れました。

「あなたたちが高校生活を送ることができたのは、両親が一生懸命に働き、多くのお金を投じてくれたからです。それについて考えたことがありますか? 学校の先生への感謝も大切ですが、それ以前に、まずは自分の親に感謝しなければなりません。」

次に、私は生徒たちに向けて言いました。

「もし、本当に心の底から親に感謝しているなら、今こそその感謝の気持ちを形にしましょう。隣にいるお父さん、お母さんの手を握ってください。」

生徒たちは次々と親の手を握りました。その手は彼らを育てるために多くの苦労を経た手でした。私は強く語りかけました。

「これらの手が、あなたたちを愛し、育て、守ってきた手です。そのことを決して忘れてはいけません。今、改めてその手を握り、心からの感謝を伝えてください。」

その瞬間、部屋中には嗚咽と涙が溢れました。私は生徒たちに目を開けるように指示しました。

「目を開けてください。この授業が伝えたかったのは、親への深い感謝と尊敬です。これで授業は終わりです。」

私が教室を後にするとき、親子が互いに抱き合い、共に涙を流しているのが見えました。この授業が彼らにとって、ただの卒業式以上の意味を持つことを願っています。

関連記事

海の父娘(フリー写真)

例え火の中でも

私の両親は小さな喫茶店を営んでいます。 私はそこの一人娘で、父は中卒で学歴はありませんが、とても真面目な人でした。 バブルが弾けて景気が悪化して来た頃、父は仕事の暇な時間に…

ウェディングドレス姿の女性(フリー写真)

可愛い一人娘

この前、一人娘が嫁に行った。 目に入れても痛くないと断言できる一人娘が嫁に行った。 結婚式で「お父さん、今までありがとう。大好きです」と言われた。 相手側の親も居た…

恋人同士(フリー写真)

がんばろうや

親父がサラ金で借金を作って逃げた。 それで、とうの昔に別居していた母さんと住む事になった。 友達にも母さんにも明るく振る舞っているけど、正直参っている。 「あんたは強…

病院(フリー素材)

みほちゃんという子

看護学生の頃、友達と遊びに行った先で交通事故を目撃しました。 勉強中の身ではあったのですが、救急隊員が駆け付けるまでの間、友人の手も借りながら車に撥ねられた女の子の応急処置をしま…

オフィス(フリー写真)

苦手だった部長

その時の部長は凄く冷たくて、いつもインテリ独特のオーラを張り巡らせている人だった。 飲みに誘っても来ることは無いし、忘年会などでも一人で淡々と飲むようなタイプ。 俺はよく怒…

炊き込みご飯

愛のレシピ

私が子供の頃、母が作る炊き込みご飯は私の心を温める特別な料理でした。 明言することはなかったが、母は私の好みを熟知しており、誕生日や記念日には必ずその料理を作ってくれました。 …

花

災害の中での大きな力

宮城県民の私は、朝からスーパーに並んでいました。 私の前にいたのは、母親と泣きべそをかいている子供。 その子供は、壊れたニンテンドーDSを大事に持っていました。画面には亀…

柿(フリー写真)

果物の命

昔、24時間営業のスーパーで働いていた。 この時期はただえさえ寒い上に、店内に冷房が効いていて凄く寒かったな。 それはさておき、その年は柿が凄く美味しかったんですよ。 …

親子

母の願い、父の誓い

俺には母親がいない。 俺を産んですぐ、事故で死んでしまったらしい。 産まれた時から耳が聞こえなかった俺は、物心ついた時にはもう、簡単な手話を使っていた。 耳が聞こえ…

カップル(フリー写真)

二人の幸せ

私は現在20歳です。 今付き合っている彼氏とは、去年の夏にナンパされて知り合った。 彼氏の見た目はいわゆるチャラ男で、それなりに遊んでいる感じ。 絶対好きになんてなら…