お母さんへ

公開日: ちょっと切ない話 | 家族 |

母(フリー写真)

お母さん

台所に立つとあなたが横に立って居る気がします。

お母さん

洗濯物を畳んでいると、ずぼらな私に

「ほらもっとキレイに畳まないと」

と言うあなたの声が聞こえる気がします。

お母さん

泣いていると、

「ほら、おいで」

と撫でてくれる気がします。

もう二児の母だと言うのに、あなたが死んだ事をどこか受け入れられません。

お葬式で長男が、

「早く起きないかなぁ」

なんて言うから、弔問者に挨拶しなければいけないのに涙が止まらなくなりました。

あなたと殆ど会話なんて無かったお父さんは、お礼の挨拶で言葉を詰まらせ、書いてある文字を読むことも出来ず、必死で言葉に出来たのは

「ありがとうございました」

だけでした。

お母さん

さよならするなら、もっと覚悟をしたかった。

「具合が悪い」

と言い、入院してたった8日で逝かれたらどうしようもありません。

まだ下の子は、生まれて二ヶ月ですよ。

もっともっと抱っこしたかったでしょう。

私はお母さんみたいな母親になりたい。

なれますか?

優しい優しいお母さんになりたい、強いお母さんになりたい、笑顔が素敵なお母さんになりたい。

お母さん、会いたいよ。

「本当にいつまで経っても子供ね」

と笑わないでね

大好きです。

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