失われた愛と再生

土砂崩れ

幼い頃から施設で育った私は、小さいときからおじいちゃんに引き取られ、そこで三人の兄弟に出会いました。9歳の元気なL、12歳の大人っぽいS、そして仏頂面だが優しいA。私たちは親がいない共通の境遇を持ち、おじいちゃんのもとで本当の家族のように育ちました。

ある年、Sが突然亡くなり、私たちはその現実を信じられずにいました。おじいちゃんから死を告げられ、普段泣かないAも大泣きしました。

時が経ち、Aが仕事のために家を出ることになり、私も彼について行きました。Aとの生活は新鮮で、やがて彼と深い愛情を育んでいきました。近所にはAの同僚や会社の社長さんが住んでおり、私たちは彼らに囲まれながら幸せな日々を送っていました。

そして、ある時、会社の旅行で山に行くことになりました。私とたまたま遊びに来ていたLも一緒に参加しました。しかし、その楽しいひと時は突然悲劇に変わりました。

Aと社長さんは私のネックレスを取りに行った際に山で発生した土砂崩れに巻き込まれ、命を落としました。彼らの最後の行動は、私にとって忘れられないものとなりました。

それから数年後、私は養子に迎えてくれた夫婦の支えを受けて、少しずつ立ち直りました。私は今、二人の子供たちの母として、再び笑顔を取り戻し始めています。これらすべては、失われた愛と、それを乗り越えた後に見つけた新たな希望の物語です。

関連記事

親子(フリー写真)

育ててくれてありがとう

中学生の頃はちょうど反抗期の真っ最中だった。 ある日、母と些細な事で喧嘩になり、母から 「そんな子に育てた覚えはない!」 と言われました。 売り言葉に買い言葉で…

猫の寝顔(フリー写真)

猫が選んだ場所

物心ついた時からずっと一緒だった猫が病気になった。 いつものように私が名前を呼んでも、腕の中に飛び込んで来る元気も無くなり、お医者さんにも 「もう長くはない」 と告げ…

手を繋ぐ友人同士(フリー写真)

メロンカップの盃

小学6年生の時の事。 親友と一緒に先生の資料整理の手伝いをしていた時、親友が 「あっ」 と小さく叫んだのでそちらを見たら、名簿の私の名前の後ろに『養女』と書いてあった…

野球のグローブ(フリー写真)

カーブ!

今はお通夜の最中です。兄貴が死にました。 4つ年上の兄貴は40歳の若さで、この世を去りました。胃癌でした。 私の家は母子家庭でした。だから初めて野球を教えてくれたのは、親父…

手を繋ぐ夫婦(フリー写真)

最愛の妻が遺したもの

先日、小学5年生の娘が何か書いているのを見つけた。 それは妻への手紙だったよ。 「ちょっと貸して」 と言って内容を見た。 まだまだ汚い字だったけど、妻への想いが…

カップルの後ろ姿

彼がくれた最期の「ありがとう」

あれは、今から一年半前。大学3年になったばかりの春のことでした。 授業が終わり、帰り支度をしていると、携帯が鳴りました。 画面に表示されたのは、彼の親友からの着信。「珍し…

親子(フリー写真)

父と過ごした日々

2年前、父を癌で亡くしました。 癌が発覚したのはその3年前。風邪が治らないと病院に通い、それでも治らず精密検査をしたら肺癌が見つかりました。しかもリンパにも転移していました。 …

赤ちゃん(フリー写真)

望まれた存在

君がママのお腹にいるとわかったとき、ママの目は涙で溢れていた。 僕が妊娠の報せを聞いたとき、クールに「そうか」と言おうと思っていた。 しかし、その言葉が出る前に、僕の目か…

渋滞(フリー写真)

迷彩服のヒーロー

一昨年の夏、私は5歳の息子を連れて、家から車で1時間の所にある自然博物館の昆虫展へ向かっていました。ムシキングの影響で、息子はとても楽しみにしていました。 あと数キロと言う地点で…

玩具にじゃれる白猫(フリー写真)

待っていてくれた猫

小学生の頃、親戚の家に遊びに行ったら痩せてガリガリの子猫が庭に居た。 両親にせがんで家に連れて帰り、思い切り可愛がった。 猫は太って元気になり、小学生の私を途中まで迎えに来…