白猫のミーコ

公開日: ちょっと切ない話 | ペット |

猫

長い間、私たち家族の一員として過ごしてきたのは、白くてふわふわな猫、ミーコだった。私がこの世に生まれてくる前から、彼女は私たちと一緒にいた。

子供の頃、私はミーコが大好きだった。

その感情はミーコも同じように感じていたらしく、彼女は私のそばから離れることがなかった。

家族の中で様々な試練があった。父が病院での日々を過ごし、母の体調も次第に良くなかった。

さらに、私も母から私立中学の入試を強く勧められ、そのプレッシャーに押しつぶされそうになった。

家を追い出され、涙にくれる私の隣には、いつもミーコがいた。

彼女の存在だけで、私は安心感を感じた。

しかし、人生は常に順調ではない。

母からの中学変更の要請、新しい学校でのいじめ、近所の大人たちからの陰口…そんな中で、私は多くのことを学び、自分を成長させることができた。

そして、中三の年、ある模試で学校で一位になった。

その喜びをミーコと共有したとき、彼女の鳴き声が明るく、高く感じられた。

しかし、時の流れは残酷だ。

ミーコは老い、彼女の体力も次第に衰えていった。

そして、ある日、学校から帰ると彼女は小屋で静かに眠っていた。

その瞬間、私の心は一瞬、時間が止まったようだった。

ミーコの死を真実として受け入れることができなかった。

涙が溢れ、私はミーコの墓まで駆け寄った。

「ミーコ、ありがとう」と声を震わせながら言った。

彼女が私に教えてくれたこと、私たちの共に過ごした時間、すべてが私の心の中で生き続ける。

私は約束をした。

「ミーコ、天国で再び会うその日まで、私は笑顔で生きるよ。だから、安心してね。」

ミーコの思い出は、私の胸にいつまでも生き続ける。

彼女との日々は私の宝物であり、それはこれからも変わらない。

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