天国の妻からの手紙
嫁が激しい闘病生活の末、若くして亡くなった。
その5年後、こんな手紙が届いた。
どうやら死期が迫った頃、未来の俺に向けて書いたものみたいだ。
※
Dear 未来の○○
元気ですか? 大好きな仕事は上手く行ってますか?
きっと○○のことだもん、今頃は凄い出世をしてるんだろうなあ。
嬉しいぞ。
早速だけど、私はもう長くないみたい。
仕事柄、何となく自分の体のことは解るんだあ。
薬も大分変わったしね。
だから、○○に最後の手紙を書くことにしました。
もう今頃、新しい可愛い奥さんが出来てるかな?(笑)
いいんだよ、私に遠慮しないで幸せになってよ。
○○は誰かを幸せに出来る才能を持ってる。
その才能を持った責任を負わなきゃいけないんだ。
○○が幸せになるところ、きちんと見守ってるからね。
私は大丈夫。向こうでイケメン見つけて恋するもんね!(笑)
そして○○は沢山子供を作って、ステキな家庭を作るの。
○○の子供だもん、きっと可愛いんだろうなあ~。
私、生まれ変われたら○○の子供になっちゃおうかな(笑)。
生まれ変わりの順番待ちがあったら割り込んじゃうもんね!
おばさん発想だな。
でもね、一つだけお願いがあります。
どうか私のことを忘れないで。
どんなに幸せになっても、一年に何回かでいいから思い出して。
私はもう、お父さんもお母さんも居ないから…。
○○が忘れたら、もうこの世界に私は居なくなっちゃう。
それだけが怖いんだ。
何回かというのはね…。
付き合い始めた日、幕張のレストランに海。
一緒に行った夏の北海道。
あの時にくれたネックレスは、今でもずっと付けてるよ。
お棺に入れないでね。○○が持ってて。
○○が初めて試合でレギュラーになった日、関係ないとは思いきや、実は私が初めてお弁当を作った日だったのだ(笑)。
卵焼き、辛くて悪かったな。
結婚記念日は○○酔いつぶれてたし、いいや(笑)。
そして私の命日。
多分、○○のことを想いながら幸せに眠るんだろな。
この四つが私の思い出ランキングトップです!
だから年四回でいいから思い出してね。お願いね。
○○が思い出してくれる時、きっと私はその瞬間だけこの世界に生き返られるんだ。
最後までわがままだね(笑)。ごめんなさい。
未来に向けて書くつもりが、何かよく分かんなくなっちゃった。
だって○○の未来は輝いてて、眩しくて、全然見えませんよ!
さて、レントゲンに呼ばれたので、これで終わりにします。
時間をかけて書くと長くなりそうなので、思いつきで書いたこの手紙で一発終了。
○○、今までありがとう。
悲しい思いをしてしまったらごめんなさい。
あなたと過ごした私の人生、あなたと作った私の人生。
幸せ過ぎてお腹いっぱいです。もう悔いはないよ。
○○の幸せをずっとずっと見守ってます。
未来の○○の笑顔を思いながら。
△△より
p.s.
ご飯はちゃんと食べるんだよ。
※
最後まで注文ばっかだな、全く。
オレはまだ一人だよ。
でも幸せだ。この手紙を見て改めて実感した。
オレ頑張るから、ずっと見ていてくれよ。
ありがとう。