少女に伝えること
第二次大戦が終わり、私は多くの日本の兵士が帰国して来る復員の事務に就いていました。 ある暑い日の出来事でした。私は、毎日毎日訪ねて来る留守家族の人々に、貴方の息…
戦争の時代を生きた人たちの話は、今読んでも胸が痛い。実話をもとにした戦時中のエピソードには、普通に生きることの奇跡と、失われた命の重さが宿っています。大切な何かを伝えてくれる感動する話を集めました。
第二次大戦が終わり、私は多くの日本の兵士が帰国して来る復員の事務に就いていました。 ある暑い日の出来事でした。私は、毎日毎日訪ねて来る留守家族の人々に、貴方の息…
南洋のパラオ共和国には、小さな島が幾つもある。 そんな島にも、戦争中はご多分に漏れず日本軍が進駐していた。 その島に進駐していた海軍の陸戦隊は、学徒出身の隊長の…
俺の母方のばあちゃんは、いつもニコニコしていて、かわいかった。 生んだ子供は四姉妹。 娘が全員嫁いだ後、長いことじいちゃんと二人暮らしだった。 そして、じいちゃ…
大戦中にドイツ軍の捕虜収容所に居たフランス兵たちのグループが、長引く捕虜生活の苛立ちから来る仲間内の喧嘩や悲嘆を紛らわすために、皆で脳内共同ガールフレンドなるも…
祖父が満州に行っていたことは知っていたが、シベリア行きが確定してしまった時に、友人と逃亡したのは知らなかった。 何でも2、3日は友人たちと逃亡生活を過ごしていた…
あなたへ あなたが、戦地にお向かいになってからもう、何度目の夜でしょう。 娘も、こんなに大きくなって。 あなた、見ていてくれていますか? あの時、私はあなたに言…
先日、大伯父の葬儀に参列しました。 静かに流れる読経を聞きながら、大伯父がただ一度だけ、戦争中の話をしてくれたことを思い出していました。 医師だった大伯父は軍医…
俺は今、介護福祉士として働いている。 妹が今度修学旅行で鹿児島へ行くらしく、職場でその話をしていたら、利用者さんの一人が 「鹿児島か…」 と暗く呟いた。 その方…
このお話は8年程前、九州の西日本新聞に掲載され、映画化もされました。 ご存知の方も多いはずです。特繰出身の学徒兵の方々のお話です。 当時東京に居た私は、銀座の東…
二十歳でヨーロッパに旅をした時の実話をいっちょう。 ルフトハンザの国内線に乗ってフランクフルト上空に居た時、隣に座っていたアメリカ人のじい様に話し掛けられた。 …
祖母は六十年、毎朝仏壇に向かって貴様と呼びかけていました。悪態だと思っていたその一語の意味が、北満の守備隊にいた祖父の残した一枚の薬包紙と最後の軍事郵便で反転し…
手を繋ぐとき必ず手首を掴む祖母には、七十年間誰にも言えない夏の記憶がありました。停電の夜の蝋燭の下で初めて語られた、離してしまった妹の手と、届かなかった一杯の水…
南の島の古い桟橋で、日本の歌を口ずさむ老人と出会った。太平洋戦争のさなか、共に陣地を築いた島の若者たちが、日本兵の隊長から浴びせられた一言の暴言。裏切られた——…
閉園の決まった岸ヶ丘動物園へ、私は祖父の遺した古い象舎日誌を持って向かいました。昭和十四年に来園した三頭の象と若き象係の日々、戦争が奪っていったもの、舌を白い布…