十七年後のボタン
十七年前、文化祭で落としたカーディガンのボタン。拾ってくれた隣の席の彼は、返さないまま卒業した。薬剤師になった私の前に、あの日のボタンが届くまでの物語。…
胸が締め付けられるような、あの感覚。泣けるほど悲しいわけではないのに、なぜか心のどこかに引っかかって残る話があります。後悔、別れ、言えなかった言葉。切なさの中にこそ、人が生きる美しさがある——そんな短編をまとめました。
十七年前、文化祭で落としたカーディガンのボタン。拾ってくれた隣の席の彼は、返さないまま卒業した。薬剤師になった私の前に、あの日のボタンが届くまでの物語。…
湖の対岸の料亭で最後の壁を塗り終えた日、女将から「奥さんが三年前にいらした」と聞かされました。座敷の北の角だけ、土の色が濃い。その夜、三十年毎朝使ってきた不格好…
三年間帰らなかった実家。電話口の「大丈夫」を信じたふりをしていた俺と、膝の痛みを隠していた母。軒先の干し花が教えてくれた、不器用な親子の本当の距離の話。…
港町の惣菜屋で働く母の割烹着が恥ずかしかった。東京で花屋を開いた息子が十年ぶりに帰郷して見つけたのは、母が裏庭でひっそり育てていた息子と同じ花だった——心が震え…
温泉街で偶然見つけた懐かしい楽器店。二十年の時を隔てて、あのジャズの音が再び鳴っていた。…
不治の病で5歳の息子を亡くした夫婦が、生前の約束を果たすため遊園地を訪れる。空の椅子に感じた小さな温もりが、二人に再び生きる力を与えてくれた。…
夜勤タクシー運転手として三十年。退職の日、妻が描いた古い地図を見つけた。赤い丸は二人で行った場所、青い丸はいつか行きたい場所。青い丸は一つも叶っていなかった。…
裏磐梯の桧原湖へ往診に行くと、玄関から出てきたのは八年前に絶縁した弟でした。父の形見のダッフルコート、欠けたままの一番上のトグル、そしてその穴に毎年通し替えられ…
美大志望だった兄が絵日記をやめた理由。薬剤師の弟が十五年ぶりに兄の薬局を訪れ、壁の水彩画と最後のページが教えてくれた真実に涙する、兄弟の和解の物語。…
温泉街の駅員として働く俺のもとに届いた忘れ物。中には折り鶴と、十五年間音信不通だった幼馴染からのメモが入っていた。不器用な二人が最後に交わした言葉とは。…
亡き祖父の花屋を継いだ孫娘が、倉庫で見つけた編みかけのマフラーと日記。不器用な祖父が二十五年間綴り続けた想いに、涙が止まらなくなる。…
花屋の娘が祖母の遺品から見つけた千羽の折り鶴。病院で右手だけで折り続けた祖母からの無言のメッセージ。不器用さの奥に隠された深い愛情を感じる泣ける話。…
毎年十二月に届いていた弟からの手編みマフラー。今年は届かなかった。看護師の姉が遺品整理で見つけた手紙に、弟が三年間黙っていた理由が綴られていた——切なくも温かい…
小学生のころ、二人でよく折り紙の鶴を折った。大人になって離れ離れになった幼馴染の母が、ある日花屋を訪ねてきた。娘が折り続けていた鶴のことを話してくれた。…
十年前、彼女は突然電話を切って、そのまま姿を消した。理由も聞けないまま月日が過ぎ、タクシー運転手になった私は、ある夜、偶然すべてを知ることになった。…