猫が運んだ茶のボタン
昭和の終わり、雪深い町の小学校。夜ごと窓辺に牛乳を置く独りの女教師と、一匹の三毛猫。猫の恩返しのように、口を閉ざした転校生の心が、少しずつほどけていきます。一つ…
昭和の終わり、雪深い町の小学校。夜ごと窓辺に牛乳を置く独りの女教師と、一匹の三毛猫。猫の恩返しのように、口を閉ざした転校生の心が、少しずつほどけていきます。一つ…
師走の命日の朝、老陶芸家は窯の余熱の前で震える子猫を見つけた。亡き妻の形見の浅鉢に水を入れてやりながら、その名を「備前」と呼んだ。小さな命が運んできた、日常の温…
亡くなった兄の研究ノートが、五年経って横浜のパン屋に届いた。最後のページに書かれていたのは、妹に宛てた静かな祈りだった。猫の首輪に揺れる銀の鈴の音と共に、無口な…
七年ぶりに帰省した拓也を待っていたのは、老いた三毛猫と、縫い物かごの中の三十一個のお手玉だった。祖母の無言の愛情に気づいたとき、涙が止まらなかった。…
定年になったら一緒にいてやる。そう思い続けた十五年間、猫のチビはずっと玄関で帰りを待っていた。でも、私が戻ったとき、チビはもうそこにいなかった。…
餌をやると、翌朝きまって沓脱ぎ石の右の端にどんぐりが一つ置いてある。お礼だと思っていました。けれどその置き場所には、私が越してくる三年も前から決まっていた理由が…
生まれる前から家にいた白猫のミーコ。嵐の夜に父が拾ったその子は、漁師の父を持つ港町の少女のそばで、つらい日もうれしい日もいつも静かに寄り添い続けてくれました。一…
家族に言えない悩みを、布団の中で茶トラ猫にだけ打ち明けていた日々。その子を見送って五年、疲れ果てて眠る私の背中に、忘れられない重みが戻ってきた。亡くなった後も寄…
雪の朝、私の電気毛布の上で生まれた愛猫こはくは、私が家を出たあとも毎夕、玄関で帰りを待ち続けてくれました。私が娘を産んだまさにその朝、こはくは知らない病院で、ひ…