タグ: 手紙

祖母の送れなかった便り

祖母の遺品整理中に見つかった古い菓子缶。中には三十年分の絵はがきが。全部、私の名前が書かれていた。切手は一枚も貼られていなかった。…

生かされた命

終戦後の満州から逃げ延びた祖父と、沖縄で幼い弟を背負って歩いた祖母。私が二十七歳の秋に届いた一通の手紙が、語られなかった戦争の記憶を静かに開いた。生かされた命と…

受け継がれる兄の手紙

十五歳で妹を引き取り、二十三歳で世を去った兄。道具箱の底に残された兄の手紙の裏面には、三十年かけて、妹と娘の返事が書き足されていった。玉子かけ飯の醤油三滴から始…

俺の下手な字と彼女の鉛筆

別れ際に「迎えに行く」と言った男は、四年も彼女を待たせた。葬儀の控室で見せられた手紙の束には、下手な字の横に鉛筆のふりがなが並んでいた。俺の下手な字を読み解き続…

鳴らないままだったポケベル

諫早から松戸まで訪ねてきた母は、三日のあいだ一度も私のポケベルを鳴らしませんでした。使い方を知らないのだと、私は十五年ものあいだ思い込んでいたのです。冷蔵庫に残…

貴様飲め

祖母は六十年、毎朝仏壇に向かって貴様と呼びかけていました。悪態だと思っていたその一語の意味が、北満の守備隊にいた祖父の残した一枚の薬包紙と最後の軍事郵便で反転し…