空港の約束

公開日: 心温まる話 | 恋愛

空港(フリー写真)

俺が25歳くらいの時の話。

当時働いていた職場に二つ年下の女の子が居て、めっちゃいい子だった。

当時はお互い恋人が居たから付き合えなかったけど、お互いかなり意識はしていたと思う。

でも決定的な告白は出来ず、数年して俺が一年間の海外出張に出る時、

「帰国の日に、もしまだ俺の事好きでいてくれたら、空港のロビーに来て」

とだけ言って出張に行った。

出張が終わりに近付くに連れて、

『何であんなこと言ったんやろ…』

と自己嫌悪に陥ったりもした。

それでとうとう帰国の日を迎えた。

空港のロビーに着くと案の定、居ないでやんの。

『やっぱりな~。一年も経てば心変わりくらいするわな~』

なんて思っていたら、不意に後ろから声を掛けられて、振り向いたらその子が居たんだ。

一年前より美人になってやんの。

俺が目を丸くして何も言えずにいたら、

「来ないと思ってた?」

と聞かれて、普通に

「うん、ってか覚えてないと思ってた」

と答えた。するとその子は、

「あの時、言われた瞬間に行くって決めてたよ」

と言うので、泣きそうになった。

「幸せにしてくれるんでしょうね~?」

と笑いながら言って来て、そこで俺は堪え切れんようになった。

涙目で、

「あったりまえやんか!期待しとけや~」

と強がって見せたけど、あの時は涙で殆ど前が見えていなかった。

あれから2年、もうすぐ結婚します。

関連記事

浜辺で手を繋ぐカップル(フリー写真)

彼女の面影

彼女が痴呆になりました。 以前から物忘れが激しかったが、ある日の夜中に突然、昼ご飯と言って料理を始めた。 更に、私は貴方の妹なのと言ったりするので、これは変だと思い病院へ行…

カップルの足(フリー写真)

母の持つ愛情

当時の俺は大学一年、彼女は大学四年。忘れもしない三年前の出来事。 大学に入ってすぐ、俺は軟式野球のサークルに入った。 サークルのマネージャーの中に彼女が居た。 一目惚…

クリスマスプレゼント(フリー写真)

おとうさんのがんが治る薬

クリスマスが数日前に迫る中、6歳の娘は欲しい物を手紙に書き、窓際に置いていました。 夫と共に、キティちゃんの便箋を破らずに手紙を覗いてみると、こう書いてありました。 『サ…

放課後の黒板(フリー写真)

好きという気持ち

中学1年生の時、仲の良かったO君という男の子が居た。 漫画やCDを貸しっこしたり、放課後一緒に勉強したり、土日も二人で図書館などで会ったりしていた。 中学2年生になる前に、…

教室(フリー写真)

お母さんの匂い

その小学校の先生が5年生の担任になった時、一人服装が不潔でだらしなく、どうしても好きになれない少年が居た。 先生は中間記録に少年の悪いところばかりを記入するようになっていた。 …

ローカル電車(フリー写真)

特別な千円札

学生時代、貧乏旅行をした。 帰途、寝台列車の切符を買ったら残金が80円! もう丸一日、何も食べていない。 家に着くのは約36時間後…。 空腹をどうやり過ごすか考…

手を繋いで歩く夫婦(フリー写真)

たった一つの記憶

私の夫は、結婚する前に脳の病気で倒れてしまい、死の淵を彷徨いました。 私がそれを知ったのは、倒れてから5日も経ってからでした。 夫の家族が病院に駆け付け、携帯電話を見て私の…

親子の手(フリー写真)

自慢の息子

これを書いている私は今、38歳の会社員です。 私は30歳の時にうつ病を患いました。 父が自殺、その後、高校の同級生である友人が自殺。 仕事は忙しく、三ヶ月休みが無い…

桜(フリー写真)

桜と最後の嘘

僕は良いところなど一つも無いと言って良い程、嫌な人間だった。 ルックスに自信は無く、頭も良くはない。そして、人に平気で嘘を吐く卑怯者。 僕に構う人など誰も居なかった。もちろ…

丸まるキジトラ猫(フリー写真)

猫のたま

病弱な母がとても猫好きで、母が寝ているベッドの足元にはいつも猫が丸まっていた。 小さな頃は、母の側で寝られる猫が羨ましくて、私も猫を押し退けては母の足元で丸まっていた。 『…