人の大切さ

公開日: 友情 | 心温まる話 | 恋愛

カップル(フリー写真)

私は生まれつき体が弱く、よく学校で倒れたりしていました。

おまけに骨も脆く、骨折6回、靭帯2回の、体に関して何も良いところがありません。

中学三年生の女子です。

重い病気という程の病気は持っていないけど、目眩や麻痺などの症状が出る病気を持っています。

この事は友達や学校の皆には秘密にしていて、そのおかげか沢山の友達と、彼氏に恵まれています。

ある日、病気の診察で病院へ行き、

『今日も何事もなく終わるんだな~』

と思いながら先生の話を聞いていたら、話のワードに

「右手が使えなくなる」

という、おぞましい言葉が聞こえてきました。

流石にそんなに悪い状態だと思っておらず、初めてその事を聞いた時は、

「嘘だ!だって普通に手動かせてるもん」

と誰の言うことも聞きませんでした。

でも月日が経つにつれて右手の痙攣がひどくなり、今まで書いていた字は男子が書いた字のようになり、プリントに名前を書いていなかった時、

「この字は男子でしょ」

と言われ、恥ずかしくて前に出られませんでした。

段々使えなくなる右手を毎日のように見ていると辛くなって、親に当たったり、友達に冷たくなったりして、いつの間にか自分の周りには誰も居なくなりました。

その異変に気付いた私の彼氏は、私に質問をしてきました。

「どうしたの?」

「最近何か変だよ」

「何かあったなら俺が何とかするから」

そのようなとても優しく、落ち着くような事を言ってくれました。

でも、荒れていた私は冷たく振り払ってしまいました。

それでも彼氏は私を説得して、私は諦めて全て打ち明けました。

話をし終えたら、彼氏は

「気付いてあげられなくてごめん」

と言い抱き締めてくれました。

それから4、5ヶ月経った今、私は元気に毎日を過ごしています。

もちろんあの時の彼氏と、沢山居た友達と一緒に。

私の右手はもう使えなくなってしまったけど、その分、人の大切さを知りました。

私は恵まれています。

私は今、物凄く幸せです。

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