とげぬき地蔵様
私は小さい頃から中耳炎で、しょっちゅう耳が痛くなっては、治療のために耳鼻科へ行っていました。
小学校に入ると、私が耳鼻科に行くために学校を休んだり早退したりすると、クラスの子に
「病気でもないのに、授業を受けたくないから仮病を使っているんだ」
と散々からかわれて、辛い思いをしていました。
うちの母は片耳が難聴で聴こえないのですが、おばあちゃん(母方の)がそれを気にして、いつも
「ごめんね。お母さんの耳が悪いから、○○ちゃんの耳も悪くなってしまって」
と私に謝るのです。
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小学3年生のある日、おばあちゃんが急にうちに遊びに来て、
「これから巣鴨に行こう」
と言い出しました。
当時は子供だったので巣鴨に何があるか知らず、ただおばあちゃんと出掛けるのが嬉しくて付いて行きました。
巣鴨に着くと、おばあちゃんは長い行列に並んで
「ここはとげぬき地蔵様があるんだよ。お地蔵様の自分の体の悪いところを洗うと、身代わりになって治してくれるの」
と言いました。
私たちの順番になると、おばあちゃんはシワシワになった手でタワシを持ち、お地蔵様の左耳をゴシゴシと擦りながら
「○○ちゃんの耳が良くなりますように」
と一生懸命洗ってくれました。
帰りにおばあちゃんが
「あんみつ食べて行こうか」
と言って、一緒にあんみつを食べました。
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おばあちゃんは6年前に亡くなったのですが、おかげで今では中耳炎も良くなり、ここ5年は中耳炎で耳鼻科に行ったことが一度もありません。
おばあちゃん、中耳炎良くなって来たよ。ありがとう。