家族三人で過ごした思い出
私の母親は、私が12歳の時に亡くなりました。
ただの風邪だったのに、入院してから1週間後にはもういなくなってしまったのです。
そして、父親も私が20歳の誕生日の1ヶ月後に亡くなりました。
※
私は20歳の誕生日に、入院中の父親から手紙をもらいました。
黄ばんだ封筒を開けると、セロハンテープの後がくっきりと写っていました。
手紙を読むと、お母さんからの手紙でした。
「パパになったたかしへ」と書かれていました。
手紙には、私が生まれた時のことから、中学校に入学するまでの思い出が綴られていました。
私が生まれたことが本当に嬉しかったこと、
そして短い間でもお母さんと過ごした時間が楽しかったこと、
感謝していることが書かれていました。
しかし、最後には、
「あなたの子供には、あなたと同じ思いをさせないでください」
という言葉がありました。
※
私は泣きながら手紙を読んでいると、父親が謝りました。
「すまんな」と。
でも、何を謝ることがあるのでしょうか。
お母さんが亡くなってから、
父親は忙しい中でも私のために働いてくれたし、遊びにも連れて行ってくれたし、
反抗期の私に何を言われても黙っていたのです。
私は知っていました。
お母さんが亡くなった直後、父親の手には沢山の包丁傷の跡があったこと、
そして父親がいつの間にかタバコをやめていたことを。
※
こちらこそ、ごめんなさい。
私がダメな息子で、本当にごめんなさい。
私は普通の人よりも早く両親を亡くしましたが、私はそれでも、他の誰にも負けないほど幸せです。
家族三人で過ごした思い出は、何よりの宝物です。
父さん、母さん、本当にありがとう、感謝しています。